マンション購入は「最強のインフレ対策」といえる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

物価が高騰している。コロナ禍でコンテナ船の輸送費が高騰したところに、ロシアのウクライナへの侵攻があり、さまざまなものが値上がりしている。円安もかなり進行したので、これから本格化するかもしれないインフレに対抗する手段を持ち合わせていないと、家計も法人もインフレ貧乏になりかねない。その方策の一つは、「最もインフレするもの」に資産を移すことである。詳しくお伝えしよう。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

物価上昇と円安が続く日本
さらなるインフレ懸念も

 2012年、民主党政権からアベノミクスに移行する際の経済政策の最大の目的は「デフレ脱却」だった。このため、アベノミクスの3本の矢の一つは金融緩和だった。お金を多めに刷ることで物価を上げようというものだ。しかし、インフレターゲットの2%に届かずに10年近くが過ぎた。

 そんな折、22年4月に消費者物価指数(総合)は2.5%となり、2%を初めて上回った。これが金融緩和によるものならば、金融は引き締められるのだが、原材料費などコストの上昇が原因で発生する「コストプッシュインフレ」なので、金融政策は現状維持となっている。

 現在の先進国のインフレ率が8%前後であることから、各国の中央銀行は利上げでインフレ率を抑えようとしている。日本では金融政策を変えないことが明言されたために、海外との金利差から円安が進行した。円安は資源や農産物を輸入に頼る日本では、インフレの要因となるため、さらなるインフレが懸念されている。

歴史上、金融緩和は
「資産インフレ」を起こす?

 アベノミクス以降、日本の中で最も値上がりしたものの一つは不動産である。法人ではオフィス、個人では自宅ということになる。自宅の中でも、特にマンション価格は右肩上がりだった。なぜなら、金融緩和は金利の低下を促し、金融機関は積極的に担保の取れる不動産に金を貸し出すことになるからだ。