連載第18回は、音楽好きな人が集まるライブカフェを紹介しよう。有名な音楽家に演奏をさせることで集客ができれば理想だが、そのような店は少ない。そこで、店主らの生き残りをかけた創意工夫がある。今回登場する店主は、震災で娘を失くした遺族でもある。苦しみや迷いの中、彼が見出した策とは……?

 あなたは、生き残ることができるか?


今回のシュリンク業界――歌声喫茶

 プロ、アマチュアを問わず、音楽家などが出演し、演奏などをする店、それがライブカフェだ。ルーツは、昭和時代に流行った“歌声喫茶”にある。ライブハウスに比べると、設備は簡易型が多い。ライブハウスは全国で1000軒以上あると言われるが、ライブカフェの店舗数などを表した正確なデータはない。

 通常はドリンクや食事があり、様々なジャンルのライブを聴くことができる。落語寄席を開催する店や、トークイベント、宴会、パーティ、発表会の会場になる店もある。モーニングやランチを提供する店もあり、喫茶店と同じようなスタイルを模索する。

 ライブハウスと比べると、少ない出資金やノウハウで開店することができ、その意味では参入障壁は低い。だが、競争相手はライブカフェ店だけではない。喫茶店やコーヒー専門店などとも客層が重なることから、生存競争は厳しい。


店内に響く、拍手もできない歌声
誰もが安心の現代版「歌声喫茶」

「俺は、拍手なんてできない。無理に上手く歌おうとするから、ダメなんじゃないかな。何よりも大切なことは、その歌い手の心だと思う」