◇「寝るのは損」ではなく「寝たほうが得」

 睡眠は非生産的だからと、睡眠時間を削って仕事や勉強をしている人もいるだろう。しかしそんな人にこそ、睡眠は重要である。

 仕事で成果を出すには「仕事をしている時の状態」や「仕事をチームで行う際の良好なコミュニケーション」が重要となる。実はこれこそ睡眠の最も得意な分野だ。睡眠は無料で頭の中のゴミを出し、記憶を整理し、メンタルや体を回復させてくれる。睡眠は無料でありながら、たくさんのメリットを提供してくれるのだ。

 睡眠は決して「無駄な時間」ではない。良い睡眠を取らないと損をする。

◆「朝」を制するものが快眠を制する
◇寝起きのコーヒーはNG

 人が目覚めると、ストレスに抵抗したり体内でエネルギーを作り出したりするコルチゾールというホルモンが分泌される。コルチゾールの分泌量は1時間ほどかけて上昇し続けてピークに達し、その後、下降していく仕組みだ。

 寝起きのコーヒーを習慣にすると、自発的にコルチゾールを分泌する能力が低下してしまう。だからコーヒーを飲む最適なタイミングは、目覚めて1時間以上経つ頃だ。仕事の準備を始めるタイミングで飲むと、午前中の覚醒が継続する。

 午後に飲むなら、昼食後、午後2時から4時の、覚醒が低下する時間帯がよい。睡眠の質が下がる可能性があるため、夕方以降は控えよう。

◇SNSは朝イチの重要タスクを終えてから

 私たちが最もストレスに強いのは、朝だ。その理由は、朝起きて1時間後に、ストレスに抵抗するコルチゾールが1日で一番多く分泌されるからだ。

 ところが朝起きると、ほとんどの人はSNSやメール、ニュース、仕事のチャットグループなど、さまざまな情報にアクセスする。これでは、起きたばかりのフレッシュな脳にストレスをかけてしまう。さらに満員電車に乗れば、ストレス耐性はほとんど残らない。

 朝時間のベストな過ごし方は、少し運動したあと、最も困難な仕事を朝のうちに終えることだ。在宅勤務をしているなら、掃除などの家事をして体温を上げつつ、心身ともに充実した状態でチャレンジングな仕事に取りかかるのがベストだ。ストレス源になるSNSやメールは、朝イチの重要タスクが終わってからチェックしよう。