「日本が世界の中心」という考えが日本人の認識をゆがめる

 というと、「そりゃ世界には親ロシアの国もあるだろうが、国際社会で主導権があるのはやはりアメリカやEUなんだからロシアが孤立していることは間違いない」と口を尖らせて反論する人もいるだろう。しかし、実はそういう「国際社会」の認識こそが、西側諸国のプロパガンダの賜物である。

「国際社会」の代表みたいな顔をしている西側諸国は、実は世界の人口の15%しか占めていない。一方、ロシアと中国を含めたBRICSは5カ国だけで人口30億人以上(世界人口の38%以上)を擁して、経済規模も世界のGDPの約24%を占めている。

 つまり、ロシアはウクライナ侵攻によって、人類の1割強に満たない西側諸国と対立を深めて、これらの国の集まりの中で孤立をしているだけだ。それ以外の大多数の国とは今までも、そしてこれからも普通に「連帯」をしているのだ。

 今年3月の段階でも、ちょっと真剣に調べれば、こういう客観的な事実がすぐに把握できる。しかし、我々日本国内にニュースで伝えられる時は、なぜか「ロシアは国際社会で孤立してギブアップ寸前」という話に置き換わる。

 なぜこうなってしまうのかというと、我々が日本人だからだ。

 日本人が働く日本のマスコミは、どうしても「日本が世界の中心」という考えに基づいた自国ファーストの情報を流す。そして、「数字」が欲しいので、日本人の読者や視聴者が「いい気分」になる話を扱いがちになる。西側についた日本が世界の中心だと視聴者や読者に知らしめるには、ロシアという国がいかに狂っていて、非人道的な連中なのか、とおとしめるのが手っ取り早い。ナショナリズムが報道の客観性をゆがめてしまっているのだ。