「追加の支出」を考慮して
年間貯蓄額を“低め”に試算

 社宅の家賃が月2万5000円(年間30万円)、住宅ローンなどが月16万円(年間192万円)ということは、差額は年間162万円です。

 理論上、2月までは今より年間162万円も多く貯金できていたことを考えると、現在の資産額はやや物足りない印象です。

 言い換えれば、住宅ローンの返済が始まるまでは、相談内容に記載のない支出(使途不明金)があったと考えられます。Uさんの年齢を考えれば収入は高めといえますが、収入が高い家計は往々にして使途不明金が多くなりがちです。

 そこで今回は、Uさんが教育や外食、旅行にお金を使うことを想定し、前述の年間黒字額(209万2000円)よりも低い金額を貯蓄に回す前提で試算します(詳細は後述します)。

 ただし、それ以上に使途不明金が発生し、貯蓄が全くできない状況になるようでは困ります。その場合は、使途不明金を減らす努力をするべきでしょう。

 Uさんの収支に話を戻すと、長男が3歳であり、子どもの成長に伴って支出が増加するのは確実です。そのため今回は、年間黒字額の一部を教育費に充てると仮定し、貯蓄に回せる金額をいったん年間180万円とします。

 Uさんは昇給などを望めず、定年は60歳。収入半減で65歳まで延長(再雇用)可能と書いています。仮に定年まで給与がこのままだったとしても、年間180万円の貯蓄を60歳まで継続できれば19年間で3420万円ほど貯まります。

 ただ、「外食は夫婦の楽しみでもあり、できれば今以上の切り詰めはしたくない」「過剰な貯蓄をするなら、生活水準を向上させたり、旅行を楽しんだりしたい」というUさんのライフスタイルを考慮しないといけませんね。

 このため前述の通り、年間貯蓄額を180万円からさらに下げ、その約7割(125万円)として試算します。年間125万円だと、60歳までの19年間で2375万円の貯蓄ができます。

 Uさんが現在保有している金融資産は2420万円です。この資産額に、定年までの19年間に貯める2375万円を加えると4795万円になります。かなり増える印象ですが、この期間中に長男が成長し、小・中・高・大と学費がかかることを忘れてはいけません。