ビジネスパーソンの多くは、日々社会情勢や業界内外のトレンドを知り、業務に活かすことが求められている。本書を通読し、いま一度情報との付き合い方を見直してみてはいかがだろうか。「読む」という行為に新たな視点と高い視座を与えてくれるはずだ。(Kamijo)

本書の要点

(1)真の情報力を得るには、読むべきものを選別する必要がある。
(2)優れた書籍は1冊の中で「アウトライン→視点→全体像」という流れを用意してくれるため、物事の全体像を知るうえで良質なガイド役になる。
(3)さまざまなものを読んで知識や視点を獲得し、そのテーマについての概念を掴む。概念を集めて世界観をスケッチし、自分のための知肉を育てる。それが「読むこと」の最終的な目標である。

要約本文

◆現代の知的生産に必須の大前提
◇「散漫力」を逆活用しよう

 著者は、現代の知的生産に必須の大前提として、集中力がないのが現代人であるという点を挙げる。そのうえで、無理に集中しようとするのではなく、「散漫力」を逆活用して生産性を高めようと呼びかける。

 スマホという武器を手にしてから、私たちは大事な人と一緒にいるときでさえも、ついスマホを見てしまうようになった。とはいえスマホは私たちの「第二の脳」になっており、いまさら手放すこともできない。

 まずは集中力をつけるのをあきらめ、散漫力があると見方を変えればよい。5分の集中しか保てなくても、その5分の集中を36個積み重ねれば3時間になる。そうすればいくらでもインプットができ、それを知力に変えられる。

◆「落とし穴」を見極め、「読むべきもの」を選別する
◇ネットの落とし穴 偏りが強いメディアを避ける

 真の情報力を得るには、「読むべきもの」を選別する必要がある。そのための第一段階として「落とし穴」を見極めて、「雑味」を排除しなければならない。かつて新聞が情報をコントロールしていた時代とは異なり、現在のネット時代は「不平等」だ。信頼できるメディアもあれば、怪しげなメディアもある。偏りが強いメディアには注意を払うようにしたい。