リーマンショック、東日本大震災と続いた未曾有の出来事によってもたらされた環境変化は、これまでの社会秩序を覆し、新しい価値観・生活行動(ニューノーマル)を生み出た。本連載では、そんなニューノーマル時代における生活者の変化や今後の方向性を、三菱総研が実施している3万人、2000設問という国内最大規模の生活者定点調査(mif [Market Intelligence & Forecast] )のデータから読み解く。第1回目~3回目まではシニア層を対象にする。

唯一人口の増えるシニア層は
食費、教養娯楽費の比率が高い

【新連載】ニューノーマル消費を読む<br />拡大するシニア市場開拓を阻む3つの壁<br />――三菱総合研究所主席研究員 高橋寿夫たかはし・ひさお
1963年生まれ、89年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了、同年三菱総合研究所入社。主に事業性評価や新規事業戦略立案に従事。2011年10月より現職。

 日本の生産年齢人口(15歳以上~65歳未満)は1995年、総人口は2004年にピークアウトし、減少が続いているなかで、増加しているのが60歳以上のシニアである。そして、シニア層は総じて貯蓄が豊かだ。

 日本の個人金融資産残高は約1500兆円ともいわれているが、その60%を60歳代以上が保有している。そして、2012年からは団塊世代(1947~1949年生まれ)が相次いで本格リタイアとなる65歳を迎えている。この団塊世代は今までにも様々な消費トレンドを創ってきた世代である。この世代がリタイアに伴い自由時間が豊富になれば、今後様々な消費行動に走ることが期待できる。