今回は残念だったね
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がんばっていることは
わかっているよ。
でも今回は残念だったね

 ある派遣社員の女性は、自己評価シートに記入する時期がくると、数年前まで働いていた某商社でのことを思い出してしまうといいます。

 それは、自己評価のレベルを、謙虚な気持ちから下げて記入したのにもかかわらず、人事から戻された評価がそれ以下のレベルだったときのことだそうです。ショックを隠し切れない彼女に上司は、「今回は残念だったね」と言うだけで、具体的な理由を聞いても、あいまいな答えしか返ってきませんでした。

 現在の会社では、たとえ評価が下がったとしてもやりがいとモチベーションは保てると言っています。なぜなら、上司は彼女に評価を伝えるとき、「がんばっていることはわかっているよ」という言葉を添えて「でも今回は評価が上がらなかったね」と言ってくれるので、心が軽くなるからだそうです。心が軽くなるから、安心して改善点についてのアドバイスを聞くことができるのだと言っていました。

 部下を注意するときの大原則の一つに「まず部下を評価してから、改善してほしい所を指摘する」がありましたね。「がんばっていることはわかっているよ」と、彼女の努力を先に認めてから今後のアドバイスをしてくれる現在の上司は、言うまでもなく大原則を心得ていたのです。