アイデアを募集して表彰する制度もありますし、私が銀行にいた時に学んだ仕組みで、成功事例報告書というのがあります。自分の部署や事業所以外にどう貢献したかの報告です。

 自分の部署で成果を出すのは当たり前。そうじゃなくて、東京本社にいながら京都のホテルの収益を上げたとか、千葉のホテルのプールサイドでアイスクリームのハーゲンダッツとコラボレーションして、お客さまにも協賛先にも喜んでもらったとか、そういうことです。

 毎月、全国から何百と届く案件から、役員会議でベスト10を厳選し、内容を全店配信します。若手もベテランも関係なく、金一封と表彰状で表彰しています。

 生きた教材を共有して、個々人が考える仕組みができれば、アメーバ経営(組織を小集団に分け、現場の社員一人一人が採算を考え、自主的に経営意識を持つこと)になっていく。他社はあまり考えない経営というか、「これは昔からこうなんだよ」と、しきたりや伝統文化を重んじる風潮がこの業界にはある。

 新体制ではどうしたらより良くなるか、「イーブンベター」(もっと良い)の精神でやっています。この言葉はうちの兄、元谷一志CEOが言い始めたんですけど。お客さまもきっと期待してくださっていると思うんです。「アパホテルって面白い、こんなことまでやってるんだ」って。

――創業者のDNAを引き継ぐこと、逆に積極的に変えていくことはありますか。