ベトナム 2013年1月18日

インフラが弱いベトナム
停電による私の個人的経済損失は、ざっと100万円

停電対策に使ったお金は100万円以上。しかし思わぬ「贈り物」も

 私はベトナムに住み始める前、7年間くらいは年に4~5回、ベトナムを訪れていたが、そのときはこんなに停電が多いとは気がつかなかった。ホテルは自家発電装置を備えているところが多いからだ。高級ホテルともなると瞬時に切り替わるので、停電が起こったことすら気がつかない場合もある。

 ある駐在員のブログで、「ベトナムは停電が多いと聞いていたけれどそんなことはなかった。駐在して半年以上になるが、一度も停電は起こっていない」と書いてあったが。そんなことはない。その方の入っているビルやお住まいの停電対策が万全だっただけのことである。

 自家発電装置、無停電電源装置、ノートパソコン、仕事をするために借りた安ホテルの部屋代、そして溶けてしまったアイスクリーム……。停電に関連して発生した、本来は必要のない出費は、私1人を例にとっても、この十年間で100万円はくだらない。これが工場ともなると、「停電で操業ができない」なんていう状態になったら、被る損失は莫大な額になるに違いない。ベトナム全体だと、いったいどれくらい無駄なお金が停電対策に使われていることだろう。

 ホーチミン市を含むベトナム南部では、一年は5月から10月頃の雨季と、11月から4月頃の乾季に大別され、乾季の終わりは停電が増える。私がベトナムに来た10年あまり前に比べると停電の回数は激減したとはいえ、これからが停電の最盛期なのだ。

 つい先日も、夜の10時頃停電があった。暗闇の中、私が自宅の仕事部屋でノートパソコンに向かっていると、小学校1年生の娘が懐中電灯片手にやって来て「お父さん、影絵遊びをしようよ」という。停電が復旧するまでの30分ほど、童心に返って家族で影絵ごっこを楽しんだ。普段、家族と接する時間を持てない私にとっては、停電がくれた「贈り物」だった。停電といっても悪いことばかりじゃない。

慢性的な電力不足だけでなく、こういうデタラメな電線の配線も「事故停電」の理由の1つだろう。現在、電線の地下化が進められている【撮影/中安昭人】

(文・撮影/中安昭人)

筆者紹介:中安昭人(なかやす・あきひと)
1964年大阪生まれ。日本での約15年の編集者生活を経てベトナムの大手日系旅行会社・エーペックスベトナムが発行する「ベトナムスケッチ」(現地の日本語フリーペーパー)の編集長として招かれ、2002年7月にベトナムへ移住。その後独立し、出版および広告業を行なう「オリザベトナム」を設立。現在は同社のオーナー社長。社員数は約40人で、「ベトナムスケッチ」(月刊)以外に、「アットサイゴン」(タブロイド紙・隔週刊)、「ヘリテイジジャパン」(ベトナム航空の機内誌・季刊)などを発行。2000年に結婚したベトナム人妻との間に7歳になる娘が1人おり、ベトナム移住以来、ホーチミン市の下町の路地裏にある妻の実家に居候中。

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