現代っ子である高校生にも、根強いジェンダーバイアス(男女の役割に関する固定観念)があることを。

 若い世代のジェンダーへの捉え方は確かに変わってきています。とはいえ、生徒の親御さんや私たちの大人世代は、まだまだ古い価値観を捨てきれていません。家庭や学校で大人が何気なく発した言葉や、テレビや漫画、ひいては今どきの若者の動画にさえも、ジェンダーバイアスは存在しています。

 どうすれば彼らに古い価値観から脱却してもらえるだろうか。ジェンダーの授業や講演会をすることも大切だけれども、そういう一方通行の形ではなく、何か一石を投じたい。そう思いました。

日常生活の中でジェンダーバイアスをなくしていく

 日常生活の中で、無意識のうちにジェンダーバイアスがなくなるような、そんな素晴らしいしかけはないだろうか。いろいろと考えを巡らせていたところ、「そうだ!」と思いついたのです。自分の肌を気にして冷やかされるくらいなら、むしろスキンケア商品を学校で買えるようにしてあげようじゃないか、と。

 こうして、ビオレやニベアの製品の自販機が、学校の正門奥にある吹き抜けの広場スペースに設置されることになりました。もちろん、ここでメンズビオレも買えます。

 結果、男子がものすごく買っていきました。

 あえてジェンダー教育をしなくても、日常風景の中にこのようなしかけを用意しておくことで、スキンケアに性別は関係ないんだ、「男子だから」「女子だから」という考え方は古いんだ、という認識が広がっていく。大袈裟かもしれませんが、こうした取り組みの積み重ねで、子どもたちのジェンダーバイアスがなくなっていけば良いと思っています。

食べたアイスのプラゴミが箸に生まれ変わるしかけ

 また、ほかにもアイスの自販機を夏に設置しました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための一斉休校の後、分散登校を経て、通常登校を再開した2020年7月のことです。

 夏にマスクをしていると熱がこもり、通常よりも暑さを感じます。そんな時、「暑いからアイスの自販機があったら良いな」という生徒の声が、江崎グリコさんのセブンティーンアイスの自販機の設置に繋がりました。