告発系インフルエンサーの「信頼感」

 さらに、YouTuberら、ネット上のインフルエンサーの存在も見逃せない。

 8月1日には、山口県阿武町の4630万円誤送金問題で起訴・保釈された田口翔被告の独占インタビューを人気ユーチューバーのヒカルが配信した。

 田口被告は誤送金された給付金を使い込んでしまったものの、ことの経緯やその後明らかになった境遇などから同情も買い、注目度は高かった。一時はテレビ局もこぞって取り上げていた誤送金問題の被告を、「独占」でインタビューしたのがユーチューバーだったというのは、アラフォー以上の世代からすると時代の移り変わりを感じる出来事なのではないか。

 あるいは、NHK党から出馬して当選し、あれよあれよという間に国会議員となったガーシーこと東谷義和氏は、自身のYouTubeで有名人の裏話を暴露し続けて大きな注目を集めた。多くは芸能人やYouTuberのうわさ話だったが、参院選前には楽天の三木谷浩史会長について連続で配信。動画が相次いで強制停止されたこともあって余計に話題となった。

 このほかにも、ツイッターをメインとしてネット上では複数の告発系インフルエンサーが台頭し、それぞれのキャラクターによってファンを集めている。

 特筆したいのは、彼らに対するタレ込みの多さである。

 週刊誌などマスコミに情報をリーク、あるいは告発する人はこれまでもいたが、もともとマスコミにつながりがなければ心理的ハードルはやや高い。しかし毎日ネット上で個人発信を目にしているインフルエンサーならばその人柄がわかるし、ダイレクトメールですぐにコンタクトを取ることもたやすい。

 インフルエンサー側でもそれがわかっているから、一見コワモテでありながら親近感を持たれやすく気さくな印象のキャラクターに見えるよう調整していくのだろう。