「情けは人のためならず」で
パフォーマンスが向上

 日本の諺に「情けは人のためならず」という言葉があるが、人に対する親切や思いやりが、やがては自分にとっての良い報いとなって返ってくるという意味を持つ諺だ。利他主義にもどこか通じるものを感じる言葉ではないだろうか。他人のための行動は自分の利益にもつながるという経験則は、今も昔も変わらずに貴重な気づきとして捉えられているのだろう。

 利他主義のマインドを持つと、健康面でのメリットも大きいと考えられている。

「自己を超越した目的を持つと、向上するのは身体能力だけではない。さまざまな業界の20万人の労働者(アスリートではない人たち)を対象にしたあるメタ分析によると、『自分の仕事は人々の役に立つ』と考えると、仕事の質が上がることが判明した。別の研究でも、目的がある人は燃え尽き症候群になりにくく、ダイエットや禁煙などの健康改善のための努力を続けやすくなるとの指摘がある」(『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』より)

 利他の気持ちで物事に取り組むと、パフォーマンスアップが期待できるのである。それならば、運動でも利他主義を取り入れてみてはいかがだろう。ウォーキング中にゴミ拾いをしてみたり、地域のスポーツ教室で子どもを指導したりと、運動を通じた社会貢献の方法は様々だ。ルーティンをこなすだけの運動よりも心が引き締まり、動作にも熱が入るだろう。

 利他的な運動をすることで社会貢献につながり、体が健康になるだけでなく心も満たされるはず。座りっぱなしの時間が長くなりがちなビジネスパーソンほど、重くなった腰を上げて利他的な運動にチャレンジしてみてほしい。

【参考書籍】

『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ,スティーブ・マグネス著、ダイヤモンド社)