北朝鮮の核開発にとって
現在の国際情勢は好都合

 ロシアのウクライナ侵攻以来、民主主義国と全体主義国との対立は決定的となっている。

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した際、国連安保理で5月27日、北朝鮮への制裁を強化する決議案が、中ロの拒否権発動で否決された。

 さらに、ロシアのウクライナ侵攻が長引き、ウクライナの反抗を受けて戦況は厳しい状況になっている。ロシアは弾薬・兵器、そして人員が不足している。弾薬は北朝鮮から購入する動きを見せており、人員についても予備兵役を部分的に動員するとのプーチン大統領の発表があった。

 中国も、10月16日の共産党大会で習近平主席の3期目続投を話し合う。このため、国内政治が優先され、国際情勢に対し、主導権を発揮することは難しい情勢である。

 いずれにせよ、ロシアに停戦に向けた動きは見られない。

 こうした状況下北朝鮮は、核ミサイル開発に一層の拍車をかけており、今や北朝鮮リスクは待ったなしである。

 北朝鮮は8日、国会にあたる最高人民会議で「共和国核武装政策」という法律を採択した。これは金正恩委員長の「思い通り」に核による先制攻撃を行うことができるようにしたものである。

 核攻撃の条件について同法は5項目を挙げている。具体的には、核兵器またはその他の大量破壊兵器による攻撃、国家指導部と国家核戦力指揮機構に対する核または非核攻撃が強行されたり差し迫ったりしたときなどである。

 朝鮮日報は、この条件について「金正恩が『不安を感じた』とか『被害妄想』だけで核が使える根拠としたということだ」と解説している。さらに、国家指導部を狙ったものであれば、非核の通常兵器でも核による「先制攻撃ができる」建前である。

 今や日韓にとって北朝鮮の核ミサイル開発ばかりでなくその使用に備える必要が現実化したということである。