例えば、三部社長は前述の4月の社長会見で「EVのスポーツモデル・スペシャルティーカー2機種を30年代半ばには投入する」と発表したものの、これがソニーG提携EVと別の自社ブランドEVなのか、ソニーG提携の高付加価値EVと異なるのか、といった判断も付きにくい。

 また、ソニーGにとっては、仮にEVモビリティ事業として独自のEVをつくる場合、生産を委託する先(ファブレス)をホンダにするのかという問題も残されている。EVファブレスの注目株としては、台湾の鴻海精密工業が名乗りを上げている。ホンダは「ソニーGとの提携EVについては台数を追わない」という考えだが、そうは言ってもソニーGの独自EVと提携EVを共にトータルで生産した方が、コスト的にメリットがあるということも考えられるので、一体化の方向もありうる。両社の折半出資によるSHMだが、どちらが将来的に主導していくのかにもよるのだろう。

 将来的にはホンダとソニーGが統合して「SONDA」誕生…といった邪推もあるようだが、双方の思惑と将来への方向性をめぐって「同床異夢」とならないよう、革新への流れを期待したい。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)