地域や個人の生活によってさまざまだが、ガソリン代が高いと思えば、自動車通勤をやめて、公共交通の利用を増やしたり、自転車で通勤したりするのでもいい。また、テレワークを増やしてそもそもの通勤を減らすことを考えてもいい。

 あるいは、小麦を使った製品の価格上昇が顕著であれば、食糧の一部を価格がそれほど上がっていない米に移すことを考えてもいいはずだ。

 円安で海外旅行の価格が高くなったことは旅行好きには残念だろうが、相対的に割安になっている国内旅行を増やすといい。

 同様に、競合する輸入品の価格が上がることによって、国内での相対競争力が改善している商品分野が多々あるはずだ。

 円安で上昇している商品・サービスの価格も含めて、価格には資源配分を調整する効果がある。また、個々の消費者に対して適切な消費選択を行うための情報伝達機能を担っている。

 それぞれの資産や所得に応じて、価格が変化したら消費行動の変更を考えるべきだ。生活を「変えない」ことに固執しない方がいい。

 政策としては、消費行動を変えても生活が成り立たない人をサポートすればいいのだ。

 例えば、いわゆる富裕層やもうかっている会社が使うガソリン代、電気代もまとめて補助金で価格上昇を抑えようという政策は、そもそも必要性に疑問があるし、予算的にも非効率的だ。

1ドル=150円時代のビジネス
円高への修正は不適切

 円安の日本経済にとってのメリットを理解しない人には、以下の二つの質問の答えを考えてみてほしい。

 その一、「日本国内に設備などの『投資』を行うには、円安と円高のどちらがいいか?」。

 その二、「優秀な日本人を雇用するには、円安と円高のどちらがいいか?」。

 答えは、いずれも「円安がいい」だろう。そして、将来の日本経済を良くするためには、現在から将来にかけて、日本国内に投資が増えることと、日本人が多く雇用されることの二つが重要だ。