自動車王フォードと発明王エジソンが100年前に掲げた「幻の都市計画」の先見性Photo:historical/gettyimages

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。

ダ・ヴィンチとヴェルヌの
驚くべき未来予想

 はるか昔に描かれた絵や物語が、現代の事物を予想していて驚かされることがある。よく知られているのは、500年以上前に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチだろう。飛行機やヘリコプター、自動車、外輪船、潜水艦などの原型が描かれたものだ。

 これらはダ・ヴィンチの天才的な想像力によるものであり、当時の技術力や材料では実現不可能なものだった。ライト兄弟など、たくさんのチャレンジャーが試行錯誤し、これらを発明するのは後世になってからである。

 これらが発明されて以降は、たくさんの技術者たちが時代の変化に合わせて改良を重ね、現代のわれわれが利用する形になった。

 過去のSF(サイエンス・フィクション)に描かれた事物の中にも、同様に現実化したものがある。ダ・ヴィンチもスケッチした潜水艦は、1870年にジュール・ヴェルヌが発表した『海底二万里』にも登場する。

 その当時、人力による潜水艦は存在していたが、作品の中には電気駆動による潜水艦が描かれている。

 潜水艦の動力はここ数年で進歩し、原子力やディーゼルエンジンだけでなく、リチウムイオン電池で動くモデルが登場した。ヴェルヌの作品は、この未来を予見していたかのようだ。

自動車王フォードが描いた
現代に通じる都市計画とは

 今回紹介する書籍『エレクトリック・シティ』(白水社)は、およそ100年前に、自動車王ヘンリー・フォードが描いた「夢の町」構想と、それをめぐる一連の顛末(てんまつ)を物語る歴史ノンフィクションだ。本書に記された内容にも、現代に通じる要素が数多くある。

 フォードが都市計画に興味を持っていたというのは、一般的にはあまり知られていないエピソードかもしれない。だがフォードは、現代の「まちづくり」やビジネスにも通用しそうなアイデアを持っていたのだ。

 著者のトーマス・ヘイガー氏は、医化学系ジャーナリスト。米国国立がん研究所で勤務したのち、フリーランスのライターとなり、医療関連の記事を執筆してきた人物だ。