第1回では、拡大するシニア市場開拓を阻む3つの壁から今後の消費トレンドについて述べた。第2回はシニア層の「つながり消費」について、その特徴をmifデータ(注1)を用いながら紹介する。夫婦、子ども、友人たちとの「つながり」が、その消費行動と満足度にどう影響しているかを読み解いてみよう。

夫はストレスの原因
夫婦の絆の再構築がポイント

 最初は「夫婦」のつながりについて見てみよう。

 今の60歳代男性は仕事中心の生活で、プライベートを犠牲にして仕事に打ち込んでいた人が多い。その一方で女性はまだ専業主婦が多かった時代だ。こうした生活パターンの違いの影響か「老後を誰と楽しみたいか」(図1)という質問結果に男女の違いが顕著に表れている。

「えっ!」子どもとの同居は満足度が低い<br />シニア世代の「つながり消費」の読み方<br />――三菱総合研究所主席研究員 高橋寿夫

 男性の場合、「夫婦」と回答している人が最も高く31%、次いで「ひとり」が19%、「友人・仲間」は13%に留まっている。一方、女性の場合は「ひとり」が最も多く34%、次いで「友人・仲間」が27%、「夫婦」と回答している人は25%でとなっている。男女間で誰と楽しむかについて考え方の食い違いがみられる。また、60歳代女性にとって「ストレスの原因」を見てみると、最も多いのが「夫との関係」で30%となっており、夫は大きなストレス源となっていることが分かる(図2)。

「えっ!」子どもとの同居は満足度が低い<br />シニア世代の「つながり消費」の読み方<br />――三菱総合研究所主席研究員 高橋寿夫

 先日、団塊世代は労働意欲が高く就業を続ける人が多い、との報道もあったが、mifデータによれば、団塊世代で現在就業されている方でも、「今後は自分や家族の時間を優先できる仕事につく」ことに、肯定的な回答をされている方は半数近くになる。今後、リタイア年代にさしかかり、夫婦で過ごす時間が増えることは確実であり、上記のような夫婦間にある溝を埋める、すなわち夫婦の絆を再構築することが、これからの幸福な生活に必要なポイントである。

(注1)三菱総研が実施している3万人、2000設問という国内最大規模の生活者定点調査(mif [Market Intelligence & Forecast] )のデータ