大企業で「出世の見込みなし」と悟った40歳、考えるべき次の一手とは大企業で役員に上り詰めるのは確率からいって容易ではない。出世競争に破れた後、どうすべきか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

大多数は出世競争に敗れる
大企業の不都合な真実

 若手社員の出世欲の低下が話題になって久しいですが中堅、ミドル世代ではまだまだ出世に対する関心の高い人がたくさんいます。

 終身雇用慣行が根強い日本の大企業では一般に、新卒採用した社員を長い時間をかけて競争させ、その結果は40歳くらいで明らかになってきます。

 自分がライバル視していた同期が先に出世したり、目安となる年齢までに管理職に昇進できなかったりして「役員の目はもうないな……」と悟る明確な瞬間があるかどうかは人によりけりですが、出世の見込みが断たれるときは大多数の人にやってきます。

 同じ年に100人、200人と新卒採用を行っている大企業で役員に上り詰めるのは、確率からいっても容易なことではありません。

 ライフネット生命の創業者で立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんは、「仕事を頑張ったけれど出世できなかった」と嘆いたり落ち込んだりしている人は考える力が足りないと、著書『還暦からの底力』(講談社刊)で厳しく指摘しています。

 毎年200人の大卒社員が入社し、新しい社長の選出が5年に1回のペースとすると、社長が選ばれるのは1000人の中の1人だからです。つまり、この会社で社長になれる確率は0.1%にすぎず、大多数の人は出世競争から脱落する構造になっているのです。

 出世して給与を上げたい、より広い権限を獲得して大きな仕事をしたいという意欲を持つのは良いことだと思いますが、競争の結果が見えてきた後に落ち込んでしまい、モチベーションを失って「働かないおじさん」化してしまうのはよくありません。人生100年時代といわれる現在、40歳から先もまだまだキャリアは続くのですから。

 出世競争に参加していた人がその見込みを断たれたとき、どうすれば良いかを考えてみましょう。