持っていることが大切にしていることなのか、きちんと維持管理して使っていることが大切なのか、大切と思うモノが山のようにあるべきなのか。

 長年の経験から、「モノの扱い方と人に対する考え方は一緒だ」と私は思っています。大切な人というのは、人生でそうたくさんはいないはずです。モノを雑に扱う、新しいモノばかりに目移りする、使い捨てにする人は、周囲の人間もそのように扱います。

 モノで言えば、災害で避難しなくてはならないときにひとつだけ持って逃げなさいと言われて選べる順番の1番目が大切なモノだと思うのです。関東大震災の火災時に助からなかった人の多くは、「持ち物を持ちすぎた」「持ち物を詰め込んで逃げ遅れた」と聞きます。

 自分のなかで、大切なモノの基準をあらためて考えてみましょう。

 そして、人生で大切にしたいことも明確にしていくと、人間関係や学び、職、モノの選択基準が見えてきます。

モノをとっておきたいなら、「場」を整える

 お金持ちのみなさんは、倹約家です。モノが古くても、不具合が出ても、使えるモノは手入れをし、ときにはダメになるまで使い倒しています。

 しかし、お金がないと思っている多くの人は、使っていないのに「もったいない」と言いながらホコリをかぶせて放置しています。モノを粗末にしながら、「もったいない、もしかしたら高く売れるかもしれないのだから」などと思っているのです。

 お金持ちの人は、自分の好きなモノがわかっていて、その好きなモノを使ったり、眺めたりすることが好き。何でもかんでもとっておいているわけではなく、自分がいいと思うモノ、暮らしや人生に必要だと思うモノだけを選んでいます。

 そして、お金持ちの全員が、家に何もないくらいモノが少ないわけではありません。

 コレクター的な趣味のモノをそれなりに持っている方もいます。それでも、好きなモノを置く場所を決めているのです。収納も見やすいよう、取り出しやすいようきちんとしています。

 モノだらけでも「好きなモノが集まった好きな場所」「よく使うモノが集まった活気ある場所」だから、自分のテンションもあがるし、良い気が流れるわけです。