売買手数料は「重い!」
当たらない予測ならなおさら
経済予測から運用戦略を考えることに関しては、以上のような「困難」があるわけなのだが、これらに加えて現実の資産運用では、アセットアロケーションを調整するために手数料や市場に与えるインパクトなどから生じる「売買コスト」の存在が重大だ。
売買コストは、それ自体がたとえ小さいとしても「確実なマイナスの影響要素」だ。努力の結果生み出した予測だとしても「平均的には無価値な判断」に対してこれを割り当てることは合理的ではない。
ここで述べたような諸々の事情は、兆円単位の資産を運用する機関投資家にとっても、数百万円レベルのお金を運用する個人投資家にとっても、基本的には同じだ。
以上のような訳で、読者は、これから数多出るだろう「2023年の大予測特集」の記事を読んで、これを実際の運用に生かそうとしているなら、いったん冷静になって考え直す方がいい。
筆者が思うに、読者は、こうした予測特集の内容を、投資の参考にするために読むのではなく、分析者のアイデアを楽しむエンターテインメントとして読むべきだ。大切なお金の運用とは切り離して考えた方がいい。
付け加えると、そのように割り切った「大人の読者」が読んでくれるなら、記事を書く側ももっと腕の振るいようがあるのではないだろうか。
「予想(ヨソウ)」は反対方向から「ウソヨ」と読むくらいがちょうどいいのだ。