販売は厳しいが、それでもラオスでラム酒作りを続ける理由

「いい酒を造っている」という自負はメンバー全員が持っている。しかし、ラム酒人口の少ない日本での販売は、実際には苦戦している。内陸国ラオスの輸出品は、運送コストの面では不利になる。それはあらかじめわかっていた。しかし、大好きになったラオスの為になること。メイド・イン・ラオスとして世界に羽ばたくお酒を造り出すこと。その気持ちで続けている。
長年この国と関わっていると、訪ねてくる人々に「ラオスの魅力は何ですか?」と、当たり前のように訊かれる。ラオスには、タイのように美しい島々のビーチ、大都会バンコクもなく、カンボジアのアンコールワットのようなインパクトのある遺跡もない。
だが、ラオスが好きで長年住んでいる人たちは口を揃えていうだろう。ラオスの魅力は人ですよ、と。しかし、旅行者が言語の違うラオス人と会話をして、共感を得ることは難しいだろう。そんな旅行者たちには、ラオスが好きで暮らしている外国人に会って下さい、という。その人たちを通して、ラオスの良さが伝わってくる。
脱サラした団塊世代の日本人オヤジが造る心のこもったラム酒をストレートであおっていると、ラオスの魅力がボンヤリと分かってくるような気がする。
地味で目立たないけど、温かさを感じる。その味わいは豊かで深い。

【ラオディー社概要】
資本金:50万1000 USドル
商品:ラム酒、サトウキビ加工商品ほか
プロジェクト承認:2007年4月/法人登記:5月
試験農場(1.5ha):2007年5月開始
農園15haの開墾:2008年11月
稼働開始:2008年4月
量産開始:2008年12月
販売開始:2009年12月
ホームページ:www.laodi.jp
(文/森卓 撮影/『テイスト・オブ・ラオス』)
1977年大阪生まれ、富山育ち。日本では元調理師。約8カ月のバックパッカー旅行の後、2002年よりラオス在住。旅行会社を経てコーディネーターに。04年、ラオス初の日本語情報誌『テイスト・オブ・ラオス』を立ち上げる。雑誌(婦人画報社、講談社他)、写真集(毎日新聞他)、テレビ(NHK BS1、毎日放送他)等コーディネート実績多数。
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