グローバルな人材サービス会社として知られるAdecco Groupのグループ会社で、エンジニア派遣などの人材サービスを展開し、バリューチェーン・イノベーターのサービスで存在感を示してきたModis(モディス)が、2023年4月1日、人材派遣からコンサルティングへと大きくかじを切り、AKKODiS(アコーディス)コンサルティングと社名変更して、新体制に移行する。「失われた30年を5年で取り戻す」という、民間企業らしからぬ壮大な経営ビジョンに掲げ、変革をけん引する北原秀文取締役兼COOに、その意図や意気込みについて聞いた。

既存のコンサルティングでは“変革”を成し遂げられない

――AKKODiSコンサルティングでは「日本を社会課題解決先進国へ」「失われた30年を5年で取り戻す」という、一見すると民間企業とは思えないような“壮大な経営ビジョン”を掲げて「課題解決先進会社」を目指しています。その理念とコンサル事業の強化はどんな関係があるのでしょうか。

 まず、これらのビジョンを掲げたのは決して大言壮語ではなく、私の真剣な危機意識からです。

 そもそも40~50年前の日本には夢がありました。しかし、高度成長期の成功体験に執着したが故に、家電製品や音響製品で世界を席巻した往年の製造業の姿はもうありません。米国や中国、韓国などに比べ、デジタル化や産業構造の変化に乗り遅れ、「課題先進国」という汚名まで着せられる始末です。

 目の前の1~2年で必死に変革を進め、積み上がった課題に一つ一つ愚直に向き合って解決し、5年後に変わっていなければ、50年後、100年後に日本という国はないかもしれません。

 企業や社会が変革しなければならないときには、やはり、“第三者的な目線”が必要になります。Modisには、優秀なエンジニアが多数おり、現場の課題も深いレベルで把握していました。しかし、エンジニア派遣を主力事業とする限り、コンサルティング業務もスポット的な「現場の改善」にとどまってしまうことも多く、その能力や知見をクライアント企業の変革に生かすまでには至っていませんでした。

 ここで、改めて「コンサルティング会社」という立場に生まれ変わり、企業や組織の経営レベルから支援することで、もっと世の中や日本の産業界に貢献できると考えています。

 ただ、その際に、解決策を提示するだけでは変革は進みません。実際、これまで、多くの日本企業は世界の一流コンサルティング会社からの提案を多数受けてきたにもかかわらず、ほとんどの会社がイノベーションを起こす体質にまでは変革できていないように見受けられます。

 いくらその時点において最良、最適な提案をされたとしても、1回きりの変革では、VUCAと呼ばれ変化し続ける現代において柔軟に対応しながら進化し続けることはできませんし、企業自身にそれを内面化し、自分のものにする力が身に付かなければ、継続性、実効性がありません。

既存のコンサルティング会社にはできない“本当の変革”を、AKKODiSコンサルティングはどのようにして成し遂げようとしているのか。次ページでは、同社の最大の強みである「伴走型」コンサルティングについて詳しく紹介する。