「日銀当座預金口座の閉鎖」が危機をもたらす理由

 この「外資の撤退」で、もっとも日本にダメージが大きいのは、「日銀当座預金口座の閉鎖」です。

 そもそも、中央銀行の当座預金とは何か、ご存じない方もいるでしょう。それは当然の話で、日銀の当座預金はあくまで金融機関だけが持つことができるもので、個人が口座を開くことはできないからです。

 私たちは自分のお金を銀行に預けていますが、それと同様に、民間銀行もまた、中央銀行(日本なら日銀)の当座預金にお金を預けています。そして、銀行間のお金の移動や各種の決済などを、日銀の当座預金口座を利用して行います。

 例えばA銀行からB銀行に資金を移動させる場合、それぞれの日銀の当座預金口座の金額を増減させるわけです。

 為替も同様に、例えばA銀行が外資のC銀行からドルを買う場合、円に関する支払いはA銀行とC銀行の日銀当座預金の間で決済が行われます。なお、ドルの決済は米FRBにあるA銀行とC銀行のFRB当座預金で行われます。

 日銀の当座預金口座を閉鎖するということは、こうした取引がまったくできなくなるということです。

 もし、外資系金融機関が軒並み日銀の当座預金口座を閉鎖したら、どうなるでしょうか。日本はドルを売ることも買うこともできなくなってしまいます。代わり金である円の決済が、日銀当座預金取引枠がなくなることで、できなくなるからです。

 これはつまり、世界の基軸通貨ドルとのリンクが外れてしまう、ということを意味します。