新作『スプラ3』で何が変わったか

 さて、新作『スプラ3』はどのような部分が進化したか。既存のファンにとっては武器やステージが新しく追加されただけでもうれしく感じられるものだが、この他にも多くの追加・変更点がある。そこから一貫して感じられるのは、「喜びを大きく、イラつきを少なく」という方向性である。
 
 たとえばチームが勝利したときの画面はキメポーズで飾られ、相手を全滅させたときは「WIPE OUT!!!」の文字がでん!と表示されるようになった。喜ぶべき要素は全体的に派手になっている。
 
 一方、シリーズの『2』まであったいくつかのイラつきポイントが、『3』では爆弾処理のごとき繊細な作業で慎重に取り除かれている。たとえば試合に負けたときに流れる音楽は、『1』ではプレイヤーをあおるような調子のストレートにムカつく音楽であった。しかし、『2』ではそれが改められてちょっとオシャレで切なげな音楽になった。そして『3』ではさらに進化を遂げ、まるで「負けた事実など存在しなかった」というかのごとき無関係な感じの音楽が流れるようになったのである。
 
 また、『2』にあった、勝つと増えて、負けるとヒビが入りやがて割れるウデマエゲージも『3』では廃止となり、『3』の勝ち負けでは機械的に表示された数字が増減するだけとなった。
 
 試合中に使えるスペシャル(必殺技)の数々もシリーズによってテイストが違う。次のようにまとめてみた。

『1』→強すぎて理不尽だが使う側からすると気持ちよい(使われる側のイラつきは一瞬)
『2』→強さが減った分、真綿で首を絞め上げてくるような陰湿さがある(使われる側のイラつきを感じる時間が長い)
『3』→まあまあ理不尽な強さだが『1』ほどではなく、『2』の陰湿さは大幅になくなった。
 
『1』と『2』で得た経験をもって、ゲームバランスとユーザーへの配慮が煮詰められてリリースされたシリーズ現時点での総決算が『3』であり、やはり『1』から知るスプラファンとしては人に勧めるなら圧倒的に『3』である。文句なき神ゲーである。
 
 ゲーム内のあおり行為やSNSを通じた批判などが昨今増え、これを気に病んでゲームから去っていく人もいる時代だ。しかし『1』がリリースされた当時に比べるとプレイヤーの民度はよくなっている。このあたりはネットリテラシーとの連動もあろうから、時代の進歩に期待したい。