都市風景,不動産Photo:PIXTA

行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱の渦に巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所や三井不動産など、不動産業界の5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

三井不動産が「独り負け」の2桁減収も
上半期の利益は「過去最高」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界5社。対象期間は22年5~9月の四半期(5社いずれも22年7~9月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:6.5%(四半期の営業収益2892億円)
・三井不動産
 増収率:マイナス12.4%(四半期の売上高4803億円)
・住友不動産
 増収率:0.3%(四半期の売上高2313億円)
・野村不動産ホールディングス
 増収率:4.0%(四半期の売上高1150億円)
・東急不動産ホールディングス
 増収率:0.1%(四半期の売上高2247億円)

 不動産業界の主要5社では、三井不動産を除く4社が前年同期比で増収だった。「独り負け」となった三井不動産は、2桁減収の憂き目に遭っている。

 だが三井不動産は、直前の四半期(23年3月期第1四半期/22年4~6月期)の増収率が前年同期比28.5%と好調だった。この2桁増収が第2四半期の落ち込みをカバーし、同社は上半期(22年4~9月期)の売上高が「過去最高」を更新した。

 さらに、この増収が利益を押し上げ、三井不動産は第2四半期累計の営業利益・最終利益も「過去最高」を記録した。

 上半期をトータルで見れば絶好調の三井不動産。その増収率は、なぜ第2四半期に急落したのか。また、同社以外の企業の利益面はどのような水準にあるのか。

 次ページでは、三井不動産の現状を中心に、不動産業界における「過去最高ラッシュ」の実態について詳しく解説する。