ポケモンは、修正させられることも
反日のターゲットになることもなかった

 韓国では、たびたび「歴史問題」と称して、日本文化にクレームを付ける動きが起きる。古い文化だけでなく、日本発の新しいカルチャーでもターゲットになることは珍しくない。

 例えば「鬼滅の刃」では、主人公・竈門炭治郎の耳飾りの模様が「旭日旗を連想させる」として市民団体が騒ぎ立てたため、韓国版では修正させられたことはよく知られている。「呪術廻戦」で「神風(バードストライク)」という技が出てきたことに対しても、「軍国主義を肯定する」などとやはり横やりが入った。

 このように、マンガやアニメでも反日勢力のターゲットになり得るのだが、ポケモンに関してはこうした理不尽なクレームを付けられることもなかった。韓国社会に溶け込み、広く愛されているという印象である。

人気作が大きく変更したとき、
ファン側は「まずは見守る」姿勢を

 サトシとピカチュウが表舞台から降りるというのはやはり正直言って淋しいものの、この決断に至るまでは、スタッフや関係者が世界中のポケモンファンたちの衝撃や戸惑いも覚悟の上で、新たな挑戦に進むと決めたことなのだろう。

 SNSが発達した現代では、何かあればすぐに世論が反応し、論争が巻き起こったり、時として炎上したりという事態も起こりやすい。アニメだけでなく、ドラマや映画も、今は海外でもすぐに配信されるようになってきたので、スタッフや、俳優・声優など演じる側のプレッシャーも非常に大きいのではないだろうか。変化に対して批判をするのは簡単だが、ファン側は「まずは見守る」というスタンスも大事だと思う。

 ともあれ、韓国でさえもこれだけ世代を超えて愛されているポケモンを見ると、日本人としてやはりうれしい。そして同時に、やはりアニメやマンガは日本が誇るべきカルチャーだと改めて認識させられた。