デルタ株までは平均10万円越え
1000万円を超える症例も

 下図が五十嵐准教授により明らかになったコロナ治療費の全貌だ。

 初期株の期間、重度肺炎のリスクが高く21年夏に猛威を振るったデルタ株のころまでは、入院割合が高く、医療費平均も10万円以上で推移していた。ECMO(体外式膜型人工肺)を使っていた症例では「1000万円を超えていた」(五十嵐准教授)。

 この金額を全て自分で負担するとなると、確かに「破産」の2文字が頭をよぎる。

オミクロン株では3万円前後
公費から外れても自己負担は1万円未満

 しかし、オミクロン株に置き換わってからは、入院割合、医療費平均とも激減。22年7~9月には、入院割合が0.5%以下にまで下がり、1人当たりの医療費平均は3万円前後となっている。

「3万円でも高い」と思うかもしれないが、日本は国民皆保険。公費負担から外れても、自己負担額は、このグラフの金額の原則3割なので、1万円に満たない。入院したとしても、相当な高所得者でない限りは、自己負担額の上限(所得で異なる)を超えた場合、高額療養費制度を利用すれば治療費が戻ってくる。

 入院割合、1人当たりの医療費平均もここまで下がった今、コロナ治療費で庶民が破産するというリスクは極めて低いといえるだろう。