日本航空(JAL)が19日に会社更生法の適用を申請し、法的整理の手続きが始まりました。企業再生支援機構が策定した再建計画に問題が多過ぎるのですが、もうその内容を批判しても詮無い話なので、日本の航空産業の強化という観点から今後はどういった点に注視していくべきかを整理しておきたいと思います。

今後は政府の役割が大きい

 その前提として、企業再生支援機構はJALという一企業の再生にしか興味がなく、日本の空とか航空産業といった観点には関心がないということを理解しておかなくてはなりません。官の資金も入ったファンドとしてそれで良いのか疑問ではありますが、安売り競争によって3年後に営業利益1100億円超という無理な目標を掲げたことからも、それは明らかです。

 そして、公的関与によって無借金ぴかぴかの企業になったJALが、公的資金という低コストの資金を使って安売り競争を仕掛けたら、競争相手であるANAなどの他社はたまったものではありません。競争上明らかにアンフェアな事態になります。

 だからこそ、例えば欧州連合(EU)では、加盟国の航空会社が公的資金による支援を受けた場合は、市場実勢よりも安価な運賃の提供の禁止や路線・便数の削減などを義務づけられており、それに違反した場合は、EU域内での運行制限や莫大な課徴金を課されるようになっています。

 また、EUは対外的にもこの方針を堅持しており、例えば2001年の同時多発テロ(9.11)の際には、米国政府が米国の航空会社に1兆8千億円の公的支援を行おうとすると、“支援を行ったら米国航空会社のEU域内への運行を制限する”と表明しました。その結果、米国政府による公的支援は大幅に減額されたのです。(ちなみに言えば、今回のJALへの“過剰支援”について、国交省がちゃんと事前にEUに相談したのかも疑問です)