オフィスビルPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所と三井不動産、住友不動産の不動産業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

不動産3社で「過去最高ラッシュ」も
うち1社が業績下方修正

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界3社。対象期間は2022年8~12月の四半期(3社いずれも22年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:マイナス4.2%(四半期の営業収益3118億円)
・三井不動産
 増収率:21.1%(四半期の売上高5693億円)
・住友不動産
 増収率:マイナス3.6%(四半期の売上高2240億円)

 不動産業界の主要3社では、三井不動産が2桁増収となった一方、三菱地所と住友不動産は減収という結果だった。

 三井不動産は、今四半期の好調によって前四半期(22年7~9月期)のマイナスをカバーし、第3四半期累計決算では売上高・営業利益・最終利益の全項目で過去最高を更新した。

 また、今四半期は減収となった三菱地所も、前四半期(22年7~9月期)のプラスに助けられ、第3四半期累計決算では営業収益・営業利益・最終利益が過去最高となった。

 住友不動産は今四半期のマイナスが響き、第3四半期累計の売上高が前年同期を下回ったものの、高採算の物件引き渡しが進んだ影響などで増益を達成。営業利益・最終利益が過去最高を記録した。

 第3四半期累計では「過去最高ラッシュ決算」となった3社だが、実はこの中に1社だけ、通期の売り上げ予想を下方修正した企業が存在する。

 その企業はどこか。業績予想を引き下げた要因とは。次ページで、各社の増収率の推移と併せて詳しく解説する。