「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
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あーもったいない! 確定申告3大あるあるを回避せよPhoto: Adobe Stock

「節税し漏れ」は年間で数十万円に達する

 所得税の「申告漏れ」「納め過ぎ」「節税し漏れ」は、確定申告の3大あるあるです。

 このうち、「申告漏れ」と「納め過ぎ」は、確定申告で直面する2つの悩みというテーマで、前回ご紹介しました(「所得20万円の確定申告の壁を回避する方法」ご参照。)。今回は、「節税し漏れ」についてお伝えします。

 知っていれば節税できたのに、知らずに「節税し漏れ」をして、大損しているサラリーマンがごまんといます。はたして、あなたは大丈夫でしょうか? 特に「サラリーマンは節税できない」と思っている人は、かなり高い確率で「節税し漏れ」をしている可能性があります。

 確定申告時期の節税で思い浮かぶのは、医療費控除などの税金還付です。戻ってくるのは数万円ですから「小さな節税」です。小さいとはいえ、基本中の基本ですので大切です。

 そして、数十万円以上が毎年戻ってくる「大きな節税」もあります。金額が大きいので、もっと大切です。ところが、「大きな節税」をやってるサラリーマンは少数派です。毎年数十万円も節税できれば10年で数百万円、一生涯では数千万円に達します。そこで今回は、「節税し漏れ」の一例をざっくり見てみましょう。

損益通算しないなんて、本当にもったいない

 一番多いのは、「損益通算漏れ」による「節税し漏れ」です。損益通算とは、利益から損失を差し引くこと。たとえば、本業の給与所得が400万円で、本業以外で100万円の赤字があったとしましょう。損益通算すれば、400万円から100万円を引いて、所得(利益)は300万円になります。400万円の所得税率は20%ですが、300万円の所得税率は10%です。控除があるので単純比較はできませんが、税率が半分になるのは大きいですよね。

 ところが多くのサラリーマンは、損益通算をしていません。源泉徴収の自動天引きに慣れていて、確定申告をしていないことが原因かもしれません。やっているサラリーマンは少数派です。本当にもったいないと思います。節税するほど生活が豊かになり、社会貢献もできるからです(「なぜ、節税すると景気がよくなるのか?」ご参照)。

副業サラリーマンが国税庁を押し切った

 国税庁は、収入300万円超なら帳簿をつけなくても事業所得として認め、300万円以下でも帳簿をつけていて実体が伴えば事業所得として認めると2022年に発表しました(*1)。この方針は、2つの意味で画期的です。

 1つ目は、国税庁目線では「300万円以下の収入は実質的には副業ではない」ことが明らかになったこと。

 2つ目は、副業節税が公認になったことです。経費をたくさん使って副業を赤字化して、本業の給料と相殺して節税する方法にお墨付きが与えられたのです。

「副業しないので関係ない」と思った人ほど、関係があります。たとえばTさんは、趣味のイラスト描きの材料費などの支出を給料と損益通算して、サラリーマン時代に1円も税金を払いませんでした。これを副業節税といいます。

 私は「さすがにそれは節税ではなく脱税でしょ!」って思ったのですが、国税庁が副業節税を条件付きで認めてしまいました。条件とは、①帳簿をつけていて、②実体が伴っていることです。

 国税庁も最初は、副業節税を禁止する方針を発表していました。ところが、「大きな節税」をしている少数派サラリーマンが猛反対し、押し切ったのです。せっかく血路を開いてくれたのですから、私たちも彼らの後に続けばよいのです。

成功したら儲かり、失敗したら大胆に節税できる

 サラリーマンにとって、これほどの朗報はありません。なぜなら、赤字額がわからない限り損益通算できないので、必ず帳簿をつけるからです。しかも脱税は怖いので、実体が伴わない申告をするわけがありません。つまり、副業節税は意外と簡単だということです。

 それよりも、副業が怖い最大の理由は、失敗するとお金を失うからです。ところが副業節税が認められたおかげで、失敗しても節税で損失の穴埋めができることになりました。運良く副業に成功すれば収入が増えます。つまり、どっちに転んでも救われるということです。

 たとえば、イラストが趣味だった先ほどのTさんは、その赤字で損益通算し、給料から天引きされた税金を全額還付してもらっていました。従って住民税も0円です。

 カメラ好きの人は、PIXTA(ピクスタ)などで販売する副業を始めれば、撮影のための旅費は経費になります。物書きとしての執筆活動を始めたら、取材や調査のための旅費は経費です。物書きはインスピレーションとイマジネーションが命なので、文豪のように旅館に籠もることだってあります。

 趣味の大半はこのように副業化できるので、黒字になるまでは損益通算して節税できるということです。趣味の副業が黒字化して大儲けしてから税金を払えばよいのです。大儲けすれば、喜んで払いますよね。

副業禁止のサラリーマンでも大丈夫

 副業禁止が気になる人も多いと思います。でも、それが副業か趣味かを判断するのはあなたです。趣味より副業の色彩が強いとしても、国だって副業を奨励しているし、基本的人権として保証されているのですから、忖度することはありません。

 とはいえ、勤め先と喧嘩はしたくないので、バレないように副業したいところです。また、損益通算することにより、翌年の住民税の源泉徴収時に会社にバレるリスクも生じます。

 そこで登場するのが「稼ぎ口二刀流」です。「サラリーマン」のまま、「資本家」という2つ目の身分を持つ生き方を「稼ぎ口二刀流」といいます。「資本家」という2つ目の身分まで禁じている企業はありません。

 解決するのは「副業禁止」と「会社バレ」だけではありません。資本家という稼ぎ口には20%しか税金がかからないので、成功して儲かり始めたあとも、大胆に節税できるのです。軌道に乗ればサラリーマンをやめて、専業の資本家にもなれます。

 うまくいけば儲かるし、失敗しても税金の還付で損失を補填してもらえるのですから一石二鳥です。しかも、どっちに転んでも、趣味として愉しめるのですから、一石三鳥です。確定申告をきっかけに、まずは趣味の副業化から第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

*1 「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案) (雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。