2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」。現在大阪市が計画している「広域処理」に対して反対運動が続いているが、そうした反対派の逮捕が相次いでいる。2012年12月には関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学准教授の下地真樹氏ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の勾留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧との指摘もある一連の警察介入の真相に迫るとともに、今年2月から震災がれきの受け入れを本格実施した大阪市の状況を報告する。

事実関係にすら混乱

「黙示の共謀」による共同正犯──。

 これが前回紹介した、2012年12月18日に大阪地裁で開催された、阪南大学経済学部・下地真樹准教授の勾留理由開示公判で明らかになった、10月17日のJR大阪駅構内での“無許可デモ”における不退去および威力業務妨害容疑の内容である。

 下地准教授の直接的な関与として裁判所から示されたのは、駅構内で「駅員と押し合いになった」「デモ行進で大声を出していた」とのJR職員の供述だけだ。一部、写真あるいは映像が証拠としてあるような説明もあったが、具体的には明らかにされなかった。勾留を必要とする理由も「仲間との打ち合わせや働きかけの可能性がある」ため、罪証(証拠)隠滅につながりかねないというのだが、駅構内の監視カメラの映像などがあるのであれば、そんなこと不可能だろう。

 長井秀典裁判長の説明に対し、太田健義弁護士が求釈明で尋問さながらの鋭い質問を次々と繰り出して追及した。その後の意見陳述でも太田弁護士は、下地准教授が証拠を隠滅するようなことはないこと、市民運動つぶしの側面があることを訴えた。

 最後に下地准教授が意見陳述をした。

「意見申し上げます」

 そう前置きして陳述を始めた。意見書から引用する。