2月12日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が3度目の核実験を実施した。昨年12月に人工衛星発射名目で長距離弾道ミサイル発射に成功したなかでの今回の核実験に対する国際社会からの反発は激しく、さらに孤立を深めていくことは間違いない。国連安全保障理事会は、北朝鮮に対する新たな制裁決議を目指す動きを見せているが、『コリア・レポート』の辺真一編集長は制裁の内容によっては、最悪の場合、北朝鮮とアメリカが全面戦争に陥る危険性もあると指摘する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

金正日総書記の遺言か、制裁措置への対抗か
3度目の核実験を行った理由

――北朝鮮が3度目の核実験を行った。昨年12月の弾道ミサイル発射により国際社会から孤立を深めていたこの時期に、なぜ核実験を実施したのか。

『コリア・レポート』辺真一編集長が警告!<br />国連の制裁措置次第では最悪のシナリオも<br />米朝対立による“第二次朝鮮戦争”の危険性ピョン・ジンイル
1947年生まれ。東京都出身。明治学院大学卒。北朝鮮情勢に詳しいジャーナリスト。朝鮮半島専門誌『コリア・レポート』編集長。北朝鮮問題のコメンテーターとして、テレビや雑誌などのメディアでも活躍。著書に『北朝鮮100の新常識』、訳書に『北朝鮮潜水艦ゲリラ事件』などがある。

 その理由としては、2つの見方が考えられる。

 1つは、北朝鮮の核ミサイル開発と保有が金正日総書記の遺訓であり、過去2回の前例に従っているという見方だ。金正日の遺言であれば、実施は不可避だったと言えなくもない。

 核ミサイルを保有するならば、ミサイル発射の次は核実験の必要があるが、過去2回を見ると、1回目は2006年7月にミサイル発射して10月に核実験、2回目は09年4月にミサイル発射して5月に核実験を行っている。そして、今回は昨年12月にミサイルを発射し、今月12日の核実験に至っている。

 2つ目は、これまでの“衛星”打ち合げに対する国際社会からの制裁措置に対する反発という見方だ。昨年4月のミサイル発射は結果的に失敗したが、この際は珍しく、西側の報道陣やNASAを含めた関係者等を招集して情報公開した。その際、ミサイルではなく“衛星”だと主張したが、認められなかった。そして昨年12月に成功したミサイル発射も、“衛星”と主張したものの、制裁決議を受けた。

 また、昨年2月には米朝間で合意が交わされ、アメリカは北朝鮮がミサイル発射を停止すれば、食料援助を行うと約束した。しかし、2ヵ月も経たないうちにミサイルを発射した。北朝鮮は、ミサイルではなく衛星だから認めてくれと主張したが、受け入れられなかった。

 こうした状況のなかで、北朝鮮が国際社会やアメリカから非難・制裁されたことへの反発、対抗措置として行ったのが、核実験だったのではないか。北朝鮮の言葉を借りるならば、我々の衛星発射の権利を奪った、だから核実験をやらざるを得なかったという見方だ。