嶋野も、理論経済学者として黙ってはおれない、というふうに話を承ける。

「これを『モデル構築』あるいは『モデルビルディング』と言ったりするんだけど*8、経済学では、このモデルビルディングによって、現実の複雑怪奇な経済現象を、メカニズムとして(どう動くか)説明しようとする。そしてより良いモデルでより上手に説明できた人がエライとされる学問なんだよね」

*8 たとえば葛藤モデルによる問いは、現実的にはどっちかしかありないという答えにはならず、そのバランスが含蓄深い「永遠の(普遍的な)テーマ」となることも多い。サンデル氏のクラスがよく「白熱」するのは、このようなモデルビルディングの巧みさに大きく起因する。

「なるほど。だから、叔父さんの話は極端で常識はずれなことが多いんだ。2人で漫才してるのも、キャラを作って、葛藤のモデルを説明するためなんですね!」*9

*9 いわゆる一般理論的には、キャラを作ることは「理念型を作ること」、漫才の掛け合いは「モデルビルディングによる思考実験」に相当する。一般理論については、ベルタランフィ著『一般システム理論――その基礎・発展・応用』などを参照。

 やっぱりなんだか、今回はケンジくんに一本取られたようだ。末席は、ナポレオンに逆転負けを喫したブルジョアたちはこんな気分だったのだろうか、と、勝ち負けとは無縁の境地にいる嶋野を尻目に落ち込んだ。

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