上場小売業の2009年3~8月期決算がまとまった。08年秋以降の急速な消費の冷え込みは依然として続いており、GMS(総合スーパー)・百貨店・SM(食品スーパー)・CVS(コンビニエンスストア)、いずれの業態でも業績の落ち込みが顕著になっている。下半期も消費需要の回復は見込めず、各社の経営は苦しい舵取りを迫られそうだ。(取材・文/「チェーンストアエイジ」下田健司)

イトーヨーカ堂、ダイエー、
ユニーが単独営業赤字

 08年秋以降の急速な消費の冷え込みで、09年2月期は多くの小売業が業績不振に陥ったが、09年3~8月期決算を見ると依然として厳しい消費環境が続いていることが浮き彫りになった。

 業績の激しい落ち込みに見舞われたのがGMSである。本業の儲けを示す営業利益が低迷し、とくに大手では営業損益が赤字に転落する企業も相次いだ。イトーヨーカ堂(東京都/亀井淳社長)が43億円、ダイエー(東京都/西見徹社長)が30億円、ユニー(愛知県/前村哲路社長)が11億円の単独営業赤字に陥ってしまった。

 中堅のイズミ(広島県/山西泰明社長)、平和堂(滋賀県/夏原平和社長)、イズミヤ(大阪府/坂田俊博社長)の3社は営業減益。イズミこそ対前期比4%の減益にとどめたが、平和堂は同25%、イズミヤにいたっては同89%という大幅な減益となった。

 GMSの既存店売上高は総じて5%前後の減収で、売上の減少に悩まされる状況が続いている。各社は経費を削減したものの、売上不振による粗利益率の悪化を補いきれず減益という結果に終わった。

 イオン(千葉県/岡田元也社長)傘下のイオンリテール(千葉県/村井正平社長)は既存店売上高伸び率が同6%減と振るわなかったが、コスト削減でなんとか4億円の営業利益を確保した。しかし、経常損益段階では10億円の赤字であり、低収益構造であることに変わりはない。イオンリテールの通期のGMS既存店売上伸び率は同7%減という厳しい見通しだが、「経費を削減するとともに、商品原価の引き下げを図る」(イオン岡田社長)ことで利益を確保する考えだ。

 GMS以上の売上・利益の減少に見舞われたのが百貨店である。

 J.フロントリテイリング(東京都/奥田務社長)は、傘下の大丸(大阪府/山本良一社長)、松坂屋(愛知県/茶村俊一社長)ともに同10%を超える減収で、それぞれ同77%、同64%の営業減益となった。高島屋(大阪府/鈴木弘治社長)も同12%の減収で、同63%の営業減益である。「カジュアル化、価格志向の対応が遅れた」(奥田社長)として、J.フロントリテイリングが中・低価格帯の商品を強化に乗り出したほか、高島屋も低価格帯商品を拡充し始めているが、百貨店市場が縮小する中で効果をあげられるかどうかは不透明だ。