ところで、ニューヨークの家電量販店でのテレビやパソコンの価格は、中国系ブランドも多数入り乱れて、毎年激しく下落してきた。しかし、前述のように米国のインフレ率は全体としては2%台半ばである。それは、著しく値上がりしてきた品目があることを意味している。02年の観光ガイドブックの価格と、現在の価格を比べてみよう。

 JFK空港からマンハッタンへのタクシー料金(固定料金制)は、30ドルから52ドルへ(+73%)。地下鉄は、MTAカード使用時の初乗りが1.5ドルから2.25ドルへ(+50%)。ビストロ「ルシアン」のブイヤベースは22ドルから32ドルへ(+45%)。1868年創業「オールド・ホーム・ステッド」のポーターハウス・ステーキは60ドルから95ドルへ(+58%)。自然史博物館入場料は10ドルから19ドルへ(+90%)。現代美術館入場料は10ドルから25ドルへ(+150%)上昇した。

 地下鉄の初乗りは今年2.5ドルへと値上げされる。東京メトロの初乗りは10年以上160円のままだ。日本でも公共料金等の値上げを人々が許容できるようになるには、賃金の上昇がやはり必要であり、そのためには企業収益を向上させる成長戦略が重要となる。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

週刊ダイヤモンド