改善点もあるが活用しないと損
日本版ISAへの不満と要望

 投資家から見て不便な点が多々あるし、制度を利用してビジネスとする側から見ても、(1)制度が恒久的ではないので、システム投資その他の元が取れるか心配な面がある、(2)日本版ISA口座の中で「乗り換え」の手数料を稼ぐことができないので、金融機関側にとっての収益性が低い、という不満な面がある。制度が普及するためには、制度の利用者と提供者両方にとって制度がリーズナブルであることが必要だ。

 率直に言って、使い勝手が良くない、改善すべき点が多い現時点の制度案なのだが、それでも運用益が非課税であることのメリットが確実にあり、個人が資産運用を行う上でこのメリットを活用しないのは、はっきり言って損だ。不満があるとしても、使えるメリットは使った方がいい。

 今のところ金融機関側では、日本版ISAが顧客にとってのメリットを強調できる仕組みであること、新規の顧客獲得の仕掛けとして期待できることなどから、将来制度が改善されることを(特に制度の恒久化を)期待して、「見切り発車」的に日本版ISA口座受け入れの準備を始めている会社が多いようだ。

 筆者は現在、証券会社に勤務しているサラリーマンでもあるので、利害の上で完全に「中立」ではないとお断りしておくが、投資家と金融機関両方の利益の立場から、最低限、制度の恒久化と投資対象商品を入れ替えた場合の税制メリットの継続の2点を実現するように要望したい。また、税制優遇の規模自体が、もっと大きくてもいいのではないだろうか。

 仮に、現在検討されているような制度設計で日本版ISAが実現した場合、個人はどのような運用をしたらいいのだろうか。

 日本版ISAは、確定拠出年金に似ている。確定拠出年金でも、繰り越し中の運用益が非課税になる点が共通だ。このため、日本版ISAの運用では、確定拠出年金の運用と共通の原則がある。