1973年のことであるから、いまからちょうど40年前になる。東海地方の信用金庫で取り付け騒ぎが起きたことがあった。発端は、女子高校生たちの何気ない会話が、クチコミとなって伝播していったものだ。

 彼女たちが下校途中の電車の中で交わした会話は「一般的に、信用金庫は都市銀行よりも経営体力が劣る」という内容であったらしい。それが人づてに伝わるにつれ、「あの信用金庫が……」と特定され、「そうそう、あぶないらしいよ」という推量から「あぶない」という断定に変わり、「あの信用金庫は今日中に倒産する」というデマとなって、取り付け騒ぎが起きた。

 いまはインターネットが普及して、40年前とは比較にならぬほど、有象無象の情報が飛び交うようになった。その中にはヤラセやサクラもあるようだが、その真偽もすぐに判明するのが「情報化社会の練度」というものなのだろう。

 今回は、クチコミの威力にITを組み合わせて快進撃を続ける「カカクコム」と、それを迎え撃つ「ぐるなび」を取り上げたい。カカクコムは「価格.com」や「食べログ」で代表されるように、家電製品・スマホ料金・グルメサイトなどのクチコミ情報を集約して、利用者へ提供する。

 一方のぐるなびは、飲食店の加盟を募ってサポートを行なうことを主体とする。クチコミ情報が主体のカカクコムとはビジネスモデルが多少異なるが、棚卸資産をほとんど抱えずに(カカクコムは貯蔵品のみ、ぐるなびは仕掛品のみ)インターネットで勝負しているという点において両社は共通している。

 カカクコムの「食べログ」と「ぐるなび」は、ユーザー利用者数などで比較されることが多い(日本経済新聞2013年2月2日付)。相手をライバルとして意識しないわけにはいかないだろう。

 2013年3月期に係る予想売上高は、カカクコムが230億円、ぐるなびが272億円で、ぐるなびに軍配が上がる。ところが、「利用者目線」でいえば、2012年12月期で食べログは4095万人、ぐるなびは3400万人であり、カカクコムの食べログに軍配が上がる。