結局のところ、同盟を同盟たらしめるには、自らを自らで守る国でないと相手は助けられないということを痛感しました。

 「同盟は相手を助けるが、運命を共にしない」

 危機対応の最前線で働いた統合幕僚監部の幹部と食事をした時、彼はそう言ったんです。

 「ああ、これでこの絵に目玉が入った」

 その発言を聞いて、そう思いましたね。

 欲張ってもう一つつけ加えると、書き進めるうちに、危機の全体像を描けないか、と思うようになったこともあります。

 この本を書くに当たって、政府、国会、民間のそれぞれの事故調報告書をそれこそ熟読玩味しましたが、そこここに散らばるデータの原石を直接、危機の最前線で取り組んだ人々のストーリーとして取り出して、磨いて、誰か一人に光を当てると言うより、群像たちのナラティブを重ねて、危機の全体像に迫ってみたい、そして、後世の人々に、福島原発危機の真実はこうだったんだ、と言うようなノンフィクションを書きたいと思うようになりました。

 ジャーナリズムは、個々のストーリーの強さが命ですし、細部に真実が宿る表現形態だと思っています。細部が彩なすモザイクを少し離れて見ると、全体の輪郭が浮かんでくるようになればしめたものです。

国家のため、社会のために
誰が命をかけるのか

――この『カウントダウン・メルトダウン』で、もっとも問題提起したかったことは何ですか?

 いざというときに、国家のため、そして社会のために、誰が命をかけるのかというテーマです。