ベトナム 2013年3月13日

ベトナムの若い男性はみんな“ミツグ君”!?
3月8日、「国際婦人の日」に見る男女の力関係

男性社会の側面もあるけれど、ベトナムは日本より「女性に優しい国」

 そう考えると、むしろ「年がら年中奉仕をしているのは、男性のほうではないか」と、愚痴の1つも言いたくもなってくるのである。

 もちろん、ベトナムが「レディファーストの国」かというと、そうは言い切れない。一般的には女性のほうが大変だろう。基本的にこの国の女性はよく働く。共稼ぎも多い。なのに「共働きなのに、夫が家事を手伝ってくれない」といった記事を、新聞や雑誌で目にすることは少なくない。

 特に農村部は「男性優位社会」の傾向が強い。妻の親戚が住んでいる田舎では、夕食のとき、テーブルを囲んで座るのは男性のみ。女性はその回りの壁際に座って食べる、というのが「習慣」だった。子供も女子より男子のほうが好まれ、出生率は男性のほうが不自然に高い。

 ただ、少なくとも都市部の若い年齢層の間では、レディファーストの傾向が強い国だというのは間違いないだろう。特に日本に比べると、かなり女性に優しい国だというのが私の印象だ。

 ともあれ、記念日が多いのはいいことだ。普段の生活の中で、改まってお礼の言葉は言うのは難しいが、こういう「口実」があれば、家庭や職場の女性たちに、感謝の気持ちを伝えるよい機会になる。そういう機会が多いことは、より良い人間関係を築く上でプラスに働くだろう。この日の贈り物をするために、1ヶ月の小遣いが全部飛んでしまうのは辛いが、それで女性たちが笑顔になってくれるのなら、安いものである。

 最後に、「国際婦人の日」についての説明を少し追加しておきたい。

 1904年の3月8日に、ニューヨークの女性労働者たちが、「パンと参政権」を求めてデモを行ない、女性参政権の運動を起こしたことが起源。この日を「国際婦人の日にしよう」と提唱したのは、1910年にコペンハーゲンで開催された「国際社会主義婦人会議」だそうだ。調べてみると、日本でも1923年の3月8日に、「国際婦人の日集会」が開かれたらしい。1975年には、国連においても「国際婦人の日」とすることが決議されているのは前述した通り。ただし、それほど広くは普及していないようで、私が調べた範囲だと、ベトナム以外では、ロシア、イタリア、中国、キューバ、モンゴル、ラオス、カンボジア、ペルーなどで、この日を祝う習慣があるようだ。キルギスやウズベキスタンでは、国民の祝日にも指定されているそうだ。

市内中心部にある統一会堂の前の通りは、花売り娘たちの密集度が高いエリアの1つ。夕暮れどきからその数は増え始める。これは午後8時ごろの様子【撮影/中安昭人】
花売り娘たちの前でバイクを止めて品定めをしていた大学生のカップルは、小さなお花のバスケットを購入。「これからデートなんです!」と夜の町に消えていった【撮影/中安昭人】

(文・撮影/中安昭人)

筆者紹介:中安昭人(なかやす・あきひと)
1964年大阪生まれ。日本での約15年の編集者生活を経てベトナムの大手日系旅行会社・エーペックスベトナムが発行する「ベトナムスケッチ」(現地の日本語フリーペーパー)の編集長として招かれ、2002年7月にベトナムへ移住。その後独立し、出版および広告業を行なう「オリザベトナム」を設立。現在は同社のオーナー社長。社員数は約40人で、「ベトナムスケッチ」(月刊)以外に、「アットサイゴン」(タブロイド紙・隔週刊)、「ヘリテイジジャパン」(ベトナム航空の機内誌・季刊)などを発行。2000年に結婚したベトナム人妻との間に7歳になる娘が1人おり、ベトナム移住以来、ホーチミン市の下町の路地裏にある妻の実家に居候中。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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