ゲームとライブ配信の融合によって生まれる新たなゲーム体験

ミラティブが2021年2月から運営しているエモモバトルドロップは、配信者が視聴者と4人でチームを組み、他チームと対戦をしていくアクションレース型のゲームだ。

エモモバトルドロップの画面イメージ
エモモバトルドロップの画面イメージ

内容はシンプルで、武器や特殊能力を使いながら相手プレイヤーをレース上から落としていき、最後まで生き残ったチームが勝者となる仕組み。現在はMirrativ内で遊べるゲームとして、毎月一定期間のみ配信されている。2021年12月1日〜9日に開催されたSeason10では、9日間で約5000万円の売上を達成した。

エモモバトルドロップの大きな特徴が「視聴者がゲームに介入できる」こと。配信者から視聴者をリアルタイムにゲームに誘えるため、視聴者は配信者の声を聞きながら一緒にゲームを楽しめる。またゲーム内で使えるマシンや特殊効果のついたアバターをギフトアイテムとして配信者にプレゼントできるため、直接ゲームをプレイする以外の方法で介入することも可能だ。

ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏によると、同社では2018年からライブゲーミングに関連するR&Dに取り組んでおり、エモモバトルドロップはそこから生まれたタイトルの1つだという。

なぜ今、ライブゲーミングなのか。背景にあるのが「ゲーム実況」のマスコンテンツ化だ。

ゲーム実況が広がったことで「ゲーム実況映えするかどうか」が、ゲームがヒットする重要な要素の1つになってきたと赤川氏は話す。実際にゲームクリエイターたちの間でも、ゲーム実況で盛り上がることを意識しながら開発に取り組むような流れが生まれ始めているという。

このマクロな変化にゲーム会社や実況プラットフォームが対応することで「ライブ配信やゲーム実況とゲームの融合」が加速し、ライブゲーミングとして新たなゲーム体験が広がっていくというのが赤川氏の考えだ。

エモモバトルドロップにも取り入れられている「ライブ配信ならではの一体感」や「配信中のゲームに視聴者が介入できる体験」はライブゲーミングの重要なポイント。これまでもゲーム実況では「コメント」を通じて配信者と視聴者がインタラクティブに交流できたが、「協力プレイ」や「ギフトやアイテムを通じた介入」など、その関わり方はもっと多様化していく可能性がある。

ゲームとゲーム実況・ライブ配信の融合が加速していくことで、ゲーム体験にも変化が生まれ始めている
ゲームとゲーム実況・ライブ配信の融合が加速していくことで、ゲーム体験にも変化が生まれ始めている

ライブゲーミングの投資加速、新タイトル開発や既存ゲームとの連携強化へ

ミラティブではこうした流れを踏まえて、数年前から大きく2つのアプローチでライブゲーミングにまつわる取り組みを進めてきた。

1つはエモモバトルドロップのようにライブゲーミングのモデルケースになるようなタイトルを自社で開発すること。たとえばソーシャルゲームの黎明期においてもディー・エヌ・エー(DeNA)の「怪盗ロワイヤル」やグリー(GREE)の「釣り★スタ!」など、いくつかのタイトルがお手本となり、それをオープン化するようなかたちでさまざまな開発者が参入し、市場が急速に広がった。