その中で拡大してきたのがデジタルマーケティングのようにテレビCMを運用する、運用型テレビCMの領域だ。

ノバセルでは戦略からクリエイティブまでをワンストップで提供するエージェンシー事業とテクノロジーを活用してCMの効果を見える化するSaaSを柱にサービスを伸ばしてきた。

2022年7月期第2四半期には四半期のノバセルセグメントの売上が10億円を突破。田部氏によるとノバセルアナリティクスも好調で大手企業を含めて利用企業が増えてきており、累計導入社数は180社を超える。

テレビCMの効果測定SaaS「ノバセルアナリティクス」
テレビCMの効果測定SaaS「ノバセルアナリティクス」

一方で市場が活性化すれば当然ながら事業者も増える。運用型テレビCMの領域にも大手代理店が参入するなど、以前に比べて「競争が激しくなってきている状況」(田部氏)だ。今回ノバセルが事業領域を拡張することには、競合との差別化を図る意味合いもあるという。

「大手企業による寡占や不透明な価格体系、戦略人材やノウハウの不足などマーケティング業界にはまだまだ課題が多いです。まずはテレビCMの領域からエージェンシーとSaaSを通じて課題解決に取り組んできましたが、それはあくまでマーケティングにおける1つの領域でしかありません。ここから事業を広げ、マーケティングの民主化というビジョンの実現を目指していきます」(田部氏)

田部氏がマーケティングを民主化する上でポイントに挙げるのが「広告効果の民主化」と「プランニングの民主化」だ。

21日より提供予定の定量調査サービス・ノビシロでは、マーケティング戦略を考える際のリサーチ業務における課題を解決する。田部氏によると、“顧客の声”の重要性には気づいているものの、それを集めるためのノウハウやリソースが不足しており悩んでいる企業が多い。

ノビシロは最短20分で100名程度の顧客の声を集められるのが特徴で、会議中に複数の選択肢で迷った際などにも気軽に使えるという。利用料金は2万円から。ノバセルのマーケターが市場調査や戦略立案に伴走する「ノビシロPRO」もあわせて提供する。
  
19日にローンチする​​ノバセルトレンドは競合他社のテレビCM効果を可視化するツールだ。これまでノバセルアナリティクスを通じて自社のCMの効果を測定する仕組みを提供してきたが、今後は競合のCMについても分析できるツールを用意する。

「競合のどのCMがうまくいっているのか気にはなっているものの、その効果についてはよく知らないという企業も多いです。今まではマーケティングのノウハウやリソースがある人しかできなかったことを、ノバセルトレンドやノビシロを活用することで誰でも簡単にある程度のところまでできるようにしていきたいと考えています 」(田部氏)