マンション再生を図るには、大規模修繕を行う、耐震診断・改修を行う、いっそ建て替えるなど、いくつかの選択肢がある。そのいずれも、非常に大きなお金が動く。下調べにも、コストがかかる。なんとか、事前に自分たちで調べる方法はないものだろうか。

建物を長持ちさせるために
重要なチェックポイント

専門家に依頼する前に<br />自分たちで点検できる<br />建物コンディションチェック<br />7項目NPO法人
日本ホームインスペクターズ協会
理事・公認ホームインスペクター(さくら事務所取締役副社長)
大久保 新氏

 分譲マンションを買って住む人は、その前に「賃貸マンションに住んでいた」という場合が少なくない。賃貸では、管理は大家さんの仕事である。大家さんの依頼を受けて、清掃や建物・設備管理を管理会社が行っていることが多い。

 そこで、「管理は管理会社がするものだ……」と思い込んでしまったら、分譲マンションに移り住んでも、同じように「お任せ」の気分が抜けず、当事者意識がなかなか芽生えない。しかし、分譲マンションを管理するのは、あくまで、居住者全員から成る管理組合なのである。

「管理組合の運営がうまくいっているところは、『建物を長持ちさせよう』という自覚が共有されていますが、大半のマンションは、そうした意識すら持っていないのが現状。問題が起きてから『大変だ!』となるより、日頃から意識して目視で、自分が住んでいる建物の現況を把握してみることをお勧めします。建物の劣化を見たい、安全性を見たいということなら、自分たちで簡単に見つけることができるんですよ」と言うのは、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会の公認ホームインスペクター・大久保新氏(さくら事務所)。

 長くマンションやビルなどの施工に携わり、現場調査、現場管理経験が豊富な大久保氏が「一般の人でも簡単に調べられるポイント」として挙げたのは、なんと、たったの7項目だ。

 下の表は、国土交通省が出している「マンションの建替えか修繕かを診断するためのマニュアル」の簡易判定表から「構造安全性」に関する部分を抜粋したものだ。大久保氏は、この「構造安全性」こそが重要で、ここを集中的に見ていけば、「建物を長持ちさせる」ためのベーシックな点検は十分と語る。