第3者から発信された信頼できる情報があれば、価格と棚フェーシングのみで購買が決定されるというコモディティ化の現状から脱する道筋ができる。多様な消費者のそれぞれに最適な価値を提供することを競うとなると、価格のみの競争ではなくなるからである。

 メーカー提供の情報ではなくて、バイヤーサイドの製品情報が何らかの形で、サプライチェーンに存在すれば、今、家電量販店で切れているサプライチェーンがつながっていくということである。三方良しのそんな情報源が日本の家電サプライチェーンにも必要であろう。

アップルストアの事例

 ここ10年間に海外の高級ショッピング街で目立つようになったストアと言えば、ファストファッションのザラ、アップルストア、ネスレのコーヒーカプセルのお店だろう。香港島の国際金融中心(センター)にあるガラス張り2階建てのアップルストアは、最近、家賃が高騰している香港において、目を見張るものがある。

 アップルストアの特徴は、高級ショッピング街に立地していて、店舗が広々していること、製品数が少ないこと、製品の使い方について、質問すれば丁寧に答えてくれるスペシャリストと呼ばれる店員が、多く配置されていることである。消費者にとって、iPadの使い方は自明ではない。さらに、アップルが好きな人たちがここに集うのである。

 アップルは製造業で、かなり以前から今のように派手で大規模ではないが、自前の小売店舗網を持って、アップル・コミュニティのようなものを形成していた。製造業が前方垂直統合している例である。アパレル産業では、ザラも製造業から小売業に進出した。日本では、ワールドも卸売業から小売業に前方垂直統合した。ネスレのコーヒーカプセルの例もそうである。

 ファッション産業では、サプライチェーンの工場の立ち位置から消費者の需要の動向をつかむことは難しい。消費者との接点、交流拠点を求めて歩み寄るのである。消費者が今、要求するものを、即提供できるように事業プロセスを統合することがSCMでは肝要である。