人生を左右する会話力を身につけ、思い通りの人生を歩み、楽しく充実した人生を過ごす―その方法をまとめた本です。
日本では身につけるべき教養として、「読み・書き・そろばん」が不可欠だと言われています。しかし、本当にそれだけで十分なのでしょうか?
実は、ほとんどの人は人生で、読んだり、書いたり、計算する事よりも、圧倒的に「会話」に時間を割いています。しかも、人生が大きく左右する事の多くは「読み・書き・そろばん」よりも、「会話」の中で決められています。
それにもかかわらず、日本では「会話力」に関する教育が行われません。子供の頃から、そして社会人になってからも、「言葉遣い」を教えられたり注意されたりする機会はあったとしても、会話力に関しての教育はほとんど記憶にないと思います。そのため、多くの日本人は、冒頭で挙げたような悩みを抱えています。
日本は敗戦国だから、会話力について学ぶ事が禁じられた歴史的な経緯でもあるのでしょうか?
もちろん、そんな事はありません(笑)。
なぜこんなことを言うかというと、欧米先進国ではとうの昔に会話力に関する科学的なメソッドや、カンタンかつ楽しくゲームを利用して身につけられるトレーニング方法が確立されていて、あらゆるシーンで盛んに取り入れられているからです。
これが本書の表紙にも入っている「インプロ」です。日本語では「即興力」と訳されているスキルで、その場その場に応じて即興で気のきいた会話ができるようになる会話やコミュニケーションの術なのです。
欧米で一流が
こぞって身につけるスキル―インプロ
例えばアメリカの企業経営者や政治家、芸能人やスポーツ選手などが、プレゼンやインタビューで、あるいは想定外の質問を受けた時に、日本のそうした人々よりもスマートに振る舞っているイメージがありませんか?
それは、そうした立場の人々の多くがインプロのトレーニングを受けていて、即興で対応できる会話力を身につけているからなのです。また、学生時代からインプロを学んでいたTwitter(ツイッター)社CEOのディック・コストロ氏は、「インプロにより台本のない状態に慣れる事が、生き方やビジネスにも役立つ」と絶賛しています。なぜなら、ビジネスの創業と成長の過程においても、台本通りにいく事なんて、ほとんどないからです。
さて、私は20歳ぐらいまで、コミュニケーション能力に大きな欠陥があり、問題を引き起こしてばかりいました。小さい頃より、嫌がらせを受けても何も言えない一方で、我慢の限界に達すると猛反撃してしまうのです。そして、そこだけを見たおとなから「お前は悪い奴だ」と叱られるものだから、私は「なぜ周りの人は嫌な事をされた被害者であり、それを我慢してきた自分を悪者にするんだ」とふさぎ込み、対人恐怖症のようになって無口になっていきました。
でも、仲のいい友人の前だけでは別で、おしゃべりな少年でい続けました。しかも、自分の中では、そんな「おしゃべりな自分」が本来の自分と認識していて、お笑い芸人になりたいとすら思っていたほどです。