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日銀が生まれ変われば円安は止まらない - 村上尚己「エコノミックレポート」

3月22日 18時0分
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来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


今週のドル円相場は、キプロスの銀行不安を巡る思惑で、1ドル94円を下回る大幅な円高で始まった。この問題は、欧州の政治事情が背景にあり、どう収束するかは未だ見えない中で、依然としてリスクは残っている(グラフ参照)。



ただ、ギリシャのユーロ離脱や広範囲な銀行預金取り付けのシナリオが現実味を持って語られた2012年と比べれば、キプロス発で欧州全体が再び混乱に至る可能性は低いだろう。もちろん、政治事情で事態がこじれる展開もありえるが、最終的には2012年のようにECB(欧州中央銀行)による国債買取などの金融緩和政策の発動で、金融市場の混乱は収束する。

週初に円高が進んだドル円相場も、再び95円台の水準に戻っている。一つにはキプロス発のリスクについて冷静な見方が広がってきたことだが、やはり新たな体制となった日本銀行が、今後金融緩和の強化を打ち出すとの期待が、これまでどおり円安ドル高を支えている。

4月3,4日の新体制下で予定される金融政策決定会合において、これまでの日本銀行と一線を画す形で、金融緩和強化が行われると予想している。就任後に行われた21日の記者会見で、黒田総裁は「できることは何でもやるという姿勢で、2%の物価目標をできるだけ早い時期に実現するということに尽きる」と発言している。

メディアでは、「黒田氏の発言は物足りなかった」「臨時決定会合の可能性は高くない」など、本質と関係ない解説も聞かれるが単なる雑音に過ぎない。これまで黒田氏が言及してきたように、白川前総裁とは異なる姿勢・考え方に基づいて脱デフレを目指し金融緩和を強化することが重要なのである。昨日の黒田総裁の発言を素直に読めば、新たな体制で日本銀行が生まれ変わることは変わらないだろう。

具体的に、既にインフレ安定に成功している米FRBは、デフレ阻止のために大規模な量的緩和政策を、一定の条件を満たすまで続ける姿勢を明確にしている。とりあえず日本銀行も、量的緩和の規模の拡大、そしてはっきりと脱デフレにコミットして量的金融緩和を継続する政策を、最初の政策決定会合で決定すると予想される。

もちろん白川前総裁に従い頑なに金融緩和政策を拒んできた方々も、審議委員や日本銀行内部に存在している。例えば、昨日の記者会見で、中曽副総裁はデフレの原因について、「慢性的な需要不足や、リーマン・ショック後の景気落ち込みが原因。人口減少など構造要因も加わった」と、これまで白川前総裁が強調していた内容と同様の発言をしている。

この「慢性的な需要不足」については、日本銀行による金融緩和の不徹底がもたらした実質金利上昇が招いたと筆者は認識している。一方、中曽氏が、それ以外の要因で需要不足がもたらされていると考えているなら、「金融緩和を強化してもデフレは続く」という理屈になる。

昨日の発言からみて、中曽副総裁は先輩である白川前総裁に配慮してか、それに近い考えをもとに金融政策を判断する可能性がある。このことは、日本銀行の内部で金融政策の実務を取り仕切る、企画局などに属する幹部にも共通しているだろう。

ただ金融緩和強化に積極的ではないこれらの意見の弊害を冷静に判断して、黒田総裁は、脱デフレに繋がる強力な金融緩和政策に踏み出すだろう。このシナリオが実現すれば、ドル円相場での円安はまだ続く。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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