津田 中国って、そういうことが基本的にないらしいですね。要するに、国家による統制という意味でのチェックはあるんだけど、メディアの編集部内での、チェックがないらしいんですよ。

加藤 もちろん完全にないとは言えませんが、日本に比べれば組織の個に対する束縛は大分薄いと感じています。中国のメディアははっきりしていますよね。僕は香港のフェニックステレビやCCTVなどでコメンテーターをやっていたんですけど、言っちゃいけないキーワードは決まっているんです。基本的には「天安門事件」を含めた共産党一党支配を真っ向から否定するような言論です。明確に決まっている。そこにさえ触れなければ、基本的にどういうスタンスで何を言ってもいい。

 セリフもないし打ち合わせも特にない。フェニックステレビの22:30からの生中継番組にしばしば出演していましたが、毎回「22:10くらいには会社に来てください」という感じでした。党のマウスピースと言われるCCTVですら22:30の生中継番組で21:45着でした。

津田 それはすごいですね(笑)。NHKなんて、24:00のニュース番組の入り時間は21:30ですよ(笑)。

加藤 いやー、中国だったら、そんなに前で時間があったら、みんなでビールを飲みながらテンション上げちゃいますよ(笑)。

 フェニックステレビはもちろん、CCTVだって事前にかしこまった打ち合わせなんてしないですよ。日中関係が敏感だったり、中国で国会が開かれているような政治の季節には、プロデューサーが寄ってきて、「加藤さん、今日はちょっと抑え目によろしくね。XXには言及しないで」と30秒程度耳元でつぶやく程度です。

 逆に、2010年頃から日本でもテレビ出演するようになりましたが、自然資源の無駄じゃないかってくらいの厚い台本が用意される。言っちゃいけないこと、表現に気を付けてほしいことなど、結構細かく言われますよね。ディレクターたちがビクビクしている印象を受けました。

津田 日本のテレビは意外とNGワードがありますよね。直接的なキーワードじゃなくて、事前の打ち合わせで「今日はこの話題を話そうと思います」と言うと「それは今日は時間があまりないので、別の機会に」みたいな形で避けさせられたり。中国は国としての大きな統制はあるものの、逆に中国のメディアのほうが日本のメディアより自由な部分があるのかもしれない。

日本のマスメディアは
政治家を減点法でしか評価しない

津田 加藤さんは中国ではウェイボーのつぶやき一回は投票するっていうイメージだって言ってましたけど(前編参照)、日本の場合、ネット上で政治的なことを言って、政治が変わるっていう意識はないですよね。日本の若者って、政治そのものにあきらめを感じている人が多い。

加藤 ここ数年ずっと疑問に思っていたことで、ぜひ津田さんに聞いてみたいことがあります。単刀直入に伺います。なんで日本の若者は総理や政治家をバカ呼ばわりするのですか? 民主的に選ばれた政治家をバカにするっていうことは、論理的には自己否定っていうことですよね。自分に良質な政治家を選ぶ能力や知見がない現実を冷笑しているということです。なぜ日本人はここまで自分をバカだと認識できるのでしょうか?