地方自治体の行財政改革を図るため、国が推し進めた「平成の大合併」から今年で14年が経過。合併に伴う特例の期限切れが迫り、合併した自治体を悩ませる。さらに、合併によって膨れ上がった公共施設の老朽化問題も襲いかかる。思わぬダブルパンチに右往左往する自治体の現状に迫った。

 香川県の東部に位置し、瀬戸内海に面する人口5万3000人のさぬき市。2002年4月に志度町など周辺の五つの町が合併して誕生した。

 当時は、国が1999年から推し進めた「平成の大合併」が始まって間もないころ。自治体同士のエゴがぶつかり合い、合併協議が難航するケースが相次ぐ中で、さぬき市は順調に進み、成功事例として取り上げられたほどだ。

 ところがである。合併から11年が経過し、さぬき市が大きな転換点に立たされている。

「18年度までは大丈夫だが、それ以降は厳しい。今の状態のまま突入したら赤字になってしまう」

 険しい表情で語るのは、香川県さぬき市の白井邦佳・予算調整室長。合併に伴う地方交付税算定の特例が期限切れを迎え、対策を取らなければ、市の財政が火の車になると危機感を強めている。

 そもそも平成の大合併は、将来の人口減と少子高齢化時代を見据え、合併によるスケールメリットを生かしてさまざまな経費を削減、行財政を効率化させることが狙いだった。

 とはいえ、合併後ただちにコスト削減を行うのは難しく、交付税を減額すると合併に消極的になるとの配慮もあって、国は交付税の「合併算定替」という特例を設けていた。

 これは、合併の翌年度から10年間は、合併した市町村がそのまま存続したと仮定して算定される交付税の合計額を保障、その後の5年間は割り増しを段階的に縮減していくというものだ。つまり、その期間は、交付税が割り増されて交付されることになる。

 さぬき市の場合、11年度決算ベースの割増額は約24億1700万円。さぬき市の一般財源が約169億1369万円なので、実に14.3%分に当たる。