今年5月1日の開幕が迫る上海万博。この万博で上海汽車(SAIC)とGMがグローバルスポンサーを務めることは、意外と知られていない。

 グローバルスポンサーは10社。うち多国籍企業はGM、シーメンス、コカ・コーラの3社のみ。なぜ、トヨタでもVWでもなく、GMなのか。

 上海万博は史上記録を更新する192カ国と50の国際機関が出展、そのテーマは「より良い都市、より良い生活」、すなわち持続可能な都市の発展だ。自動車業界に期待されるのも環境に配慮した新エネルギー車(*1)であるわけだが、ならばトヨタやVWの技術のほうがよほどGMよりも進んでいる。

(*1)ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池式自動車、水素エンジン自動車などの新エネルギーを動力源とする自動車の中国における総称。

 そもそもGMといえば、M&Aで大きくなった企業だ。負の遺産はあれど自前の技術力がないだけに、グローバルスポンサーに選ぶのは合理性を欠く。

 1業種1社という独占的な契約の、そのスポンサー料は約50億円。スポンサーに手を挙げたGMと、それに頷いた主催者側の思惑を「中国が欲しがる次世代の技術と、GMが欲しがるレアメタルで一致した」とささやく者もいれば、「中国で販売するための、形を変えた米政府の支援だ」と見るジャーナリストもいる。

新エネルギー車をめぐり
米中の蜜月は進む

 一方、SAIC(*2)とGMが共同で出展するSAIC-GM館が、いま静かに注目を集めている。「パビリオンではSAICとGMとが共同開発した世界戦略車が発表される」――。そんなことが、某日系自動車メーカー駐在員の一部でささやかれているのだ。国有のSAICと”Government Motors”(国有化されたGM)、一民間企業を超えた国と国との戦略が絡むだけに、心中穏やかではない。