カンボジア 2013年4月3日

5年に1度の選挙を控えたカンボジア
最低賃金引き上げと「ツルの一声」

次回選挙の最大の争点、労働問題

 カンボジアは7月28日に、5年に1度の総選挙を迎える。東南アジア諸国で最も長期にわたり政権を握るフン・セン首相の与党・カンボジア人民党が今回も圧勝するだろう、と言われている。

 だが、土地問題や労働問題が顕在化する都市部を中心に、人民党の支持率は下落傾向にあり、与党批判の受け皿として、サムレンシー党などの野党が得票率を伸ばしている。今回の選挙に向けては、最大野党のサムレンシー党と、野党の人権党が「相討ち」にならないよう共闘しており、与党はより明確に批判票の存在を示されることになろう。

 その選挙で、最大の争点になりそうなのがこの労働問題なのだ。

 与党側は、首相による「2ドル上乗せ」を見せつける一方、野党側は「最低賃金150ドル」を掲げる。野党サムレンシー党のソン・チャイ議員はプノンペンポスト紙で、「政府が本気で労働者のためを思うなら、選挙前のわずかな賃金引上げではなく、最低賃金引上げを保証する法律を制定するべきだ」と指摘している。

 労働問題以外にも、フン・セン首相はこのほかにもさまざまな機会をとらえ、総選挙に向けた強烈なパフォーマンスを重ねている。たとえば、コンポンチャム州での国道拡張工事起工式での演説では、与党の人民党が選挙で勝てなかったら、「インフラ整備などへの寄付や協力はできなくなる」と発言した。

 地元紙によると、首相は「道路、学校、寺院、灌漑施設……多くのインフラプロジェクトは、国家予算というよりも人民党員である軍人、農民、ビジネスマンや投資家たちが自らの財源を注ぎ込んだもの。もし国民が人民党に投票しなければ、こうした施しもなくなるだろう」と、述べたという。

 与党を指導するフン・セン首相の力で国民生活はいかようにもなる、と言わんばかりの威勢のいい脱線気味の発言。首相のそんな「力」こそが、外国企業にとっては心配の種になっている。

貧富の差が目に見えて広がる都市部。7月の総選挙では、重要なテーマのひとつとなる【撮影/木村文】

(文・撮影/木村文)

筆者紹介:木村文(きむら・あや)
1966年生まれ。国際基督教大学卒業、米インディアナ大学大学院ジャーナリズム科修了後、朝日新聞入社。山口支局、アジア総局員、マニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地発行のフリーペーパー「ニョニュム」編集長に(2012年4月に交代)。現在はフリー。

 

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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